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貸店舗経営と賃貸住宅経営の違い

土地を有効活用する際、駐車場は初期費用がそれほどかからない分、収益も多いとは言えません。
そのため土地の上に賃貸住宅を建築してアパートやマンションを経営するのが、結果的に投資効率が良くなります。(※立地や建築する物件にもよります)

ただ、土地の有効利用という点でみれば、オーナー様が商業地に土地を所有していた場合には、賃貸住宅経営の他に賃店舗経営を検討されたほうがいい場合もあります。

そこで、この記事では賃貸店舗経営と賃貸住宅経営についてもう少し踏み込んで、それぞれのメリットやリスクな点について解説させていただき、ご検討中のオーナー様の一助になればと存じます。

 

貸店舗の概要と特徴について

貸店舗とはその言葉通り”店舗を貸す”ことになりますが、重要なのが立地条件です。
これは、店舗では物を販売したりサービスを提供することになりますので、人が多く集まるような立地であることが望ましいためです。

ただこの「人が多く集まる場所」という立地条件については大きくわけて2パターンあります。一つは駅近型。もう一つは郊外型です。

駅近型はお客様が徒歩で来店することが必要になるので、駅から近いことはもちろん、人通りの多い立地であることが求められます。

一方で郊外型の場合は、自動車で来店する前提であるので、幹線道路沿いで交通量が多く、駐車スペースをしっかり確保した上で、自動車の出入りに対応できることが求められます。

スケルトン貸しついて

貸店舗の1つの募集方法としてスケルトン貸しが挙げられます。スケルトン貸しは一般的にそのスペースだけを提供することになります。

オーナー様はスペースだけを賃借人に提供して、賃借人は、スペースの内装を自分たち仕様に内装工事をします。
オーナー様は内装工事費用の提供をすることがないので、その分投資額を抑制することができ、投資効率も高くなります。

それでいて多くの人が集まるという好立地であれば、賃料は高く設定することが可能です。

貸店舗経営のメリットについて

貸店舗経営のメリットは次の6つを挙げることができます。

①高い賃料設定
②スケルトン貸しなら内装工事が不要
③高収益・高利回り
④原則、原状回復は不要
⑤共用部が少ない
⑥入居期間が長い→長期的な収益の確保が可能

①②については前述しましたので、③~⑥についてそれぞれ解説します。

③高収益・高利回り

貸店舗は前述したように賃料を高く設定して、且つ投資金額を抑えることが可能です。
少ない投資額で高い家賃収入がみこまれるので、結果として利回りが高くなります。
そのため、効率的に収益を上げることができます。

④原則、原状回復は不要

貸店舗は賃借人が退出する場合には、原状回復義務を契約書に条文化することができます。
例えば飲食店に貸した場合には、賃借人は厨房やテーブルや椅子などは撤去してオーナー様に返還しなければなりません。
これを原状回復義務と言いますが、その場合のコストはほぼ賃借人が負担することになります。

⑤共用部が少ない

賃貸店舗の場合は賃貸住宅と違って、階段や廊下などの共用部分がありません。
そのため、物件によっては共用部分の清掃や光熱器具の交換などをする必要がないので、その分コストを圧縮することができます。

⑥入居期間が長い

貸店舗の場合、よほどのことがない限りすぐに退出することはありません。
テナントは現実的にもそれなりの投資額を投入するので、費用を回収するためにも短期間で退出することは殆どありません。
そのため、長期間貸店舗を使用してくれる=長期的な収益を確保できる、ということが可能になります。

貸店舗のデメリット

貸店舗の運用は色々とメリットもありますが、以下のようなデメリットもあります。

  • 立地条件を見誤ると大打撃
  • 賃料の変動に敏感
  • 賃貸住宅と比べて節税効果が低い
  • 空室リスク

立地条件を見誤ると大打撃

貸店舗の場合、その場所でビジネスをしますので、立地条件を見誤るとお客さんが想定よりも来ないというような事態を招きかねません。
そうならないためにもしっかりマーケテイング調査をして、どんなテナントに入居してほしいかを決めるようにしましょう。

できれば該当地域に詳しい不動産業者など、専門家に調査してもらうのがおススメです。

賃料の変動に敏感

貸店舗の場合、賃貸住宅と違って社会状況や経済の動きによって賃料が大きく変動することがあります。
需要のある立地条件であればよいのですが、貸店舗ビルが乱立するなど極端に供給量が多くなってしまえば賃料を下げざるを得なくなります。

賃貸住宅と比べて節税効果が低い

賃貸住宅の場合は、最初から固定資産税と都市計画税の優遇措置があります。
ところが貸店舗の場合は住居ではありませんので、公租公課の優遇措置がありません。
(なお、店舗付き住宅の場合は優遇措置を受けることも可能になります)

空室リスク

経済状況が悪くなった場合に、貸店舗の経営もそれに連動して収入が足りなくなってしまうということを想定しておく必要があります。
近年では感染症の影響で、とくに飲食業界が大変つらい思いをしました。

こうした事態に遭っては、入居してくれたテナントが倒産することも十分考えられます。
その場合は家賃収入がはいらずオーナー様にとっても負担が大きいため、貸店舗の場合は賃貸住宅と比べて高い敷金が設定されるのです。周辺相場を調べて適切な額を設定しましょう。

賃貸住宅経営について

賃貸住宅経営は不動産投資の王道と言っていいものですが、賃貸店舗同様、立地条件が大事です。
立地条件では"生活施設が徒歩圏にある"ことが重要です。

この場合の生活施設は、駅やバス停などの交通機関、病院、スーパーやコンビニエンスストアなど生活に必要な施設の事を言います。
悪臭や危険な施設が周辺にないなど町の治安も重要なポイントです。

賃貸住宅経営の特徴

住宅として適正な立地条件に建ち、周辺相場と比べて極端にズレていない賃料設定であれば、入居が決まらないということはまずありません。

また、貸店舗と違い公租公課の優遇措置がある上、最近では大家の業務を専門会社に依頼することが可能になので、雑多な賃貸事務(家賃の督促や空室のリスク)などを委託することも可能です。

賃貸住宅のメリットとデメリット

賃貸住宅経営のメリットは次のとおりです。

①安定した収益
②節税対策など
③インフレ対策

①安定した収益

賃貸住宅は立地条件と家賃の設定条件が適正であれば、入居者はまず決まります。
現在の賃借人が退出が決まった際、退去前に募集を始めるなど対策をしっかりとれば、空室期間の短いうちに入居者が決まります。

需要の多い地域であれば入居希望者も多くいるため、経済が悪化したからといって大幅に家賃を下げることもなく、安定した収益が見込めます。

②節税対策など

賃貸住宅経営の場合、様々な税制の優遇措置があります。
まず、相続税対策として賃貸住宅経営は同額の現金よりも評価額が下がりますし、賃貸住宅の相続税評価額は低いということもあって、相続税対策を合法的にすることができます。

次に固定資産税および都市計画税の優遇措置です。
賃貸住宅を建築すると、住宅用地の特例を受けることができます。

そして所得税の節税効果も期待できます。
賃料収入に対して経費が多い場合には不動産所得がマイナスになり、それを別の収入と合算することで全体の収入が下がるので、その結果確定申告することで所得税及び住民税の節税も可能です。

③インフレ対策

賃貸住宅は需要が必ずありますので、景気が悪くなっても入居者がいなくなるということがありません。
実際に土地の価格が下落しても、家賃が適正である限りそれに連動して下がるということはなく、安定した収入が見込めます。

賃貸住宅のリスク

とはいえ賃貸住宅の経営にもやはりリスク付いてきます。

まず融資を受けた場合の返済のリスクです。賃貸住宅を購入するために融資を受けた場合、もし返済ができなくなると建物が差し押さえられ競売にかけられてしまいます。

適正な立地条件かつ適正な家賃でない場合には、入居者がつかず空室となる恐れがあります。

さらに不動産は経年劣化しますので、定期的な修繕をしなければなりません。その分費用がかかってしまう点もリスクとして挙げられるでしょう。加えて賃借人とのトラブルもないわけではありませんし、全く想定していない天災の被害を受けることも十分可能性があります。

このようなリスクを回避するためには、事前にしっかり専門家と調整をして物件選びや賃料の設定をすることが必要でしょう。

まとめ

以上のように貸店舗にも賃貸住宅にも、それぞれメリットが有る一方でデメリットやリスクがあるということがわかりました。

「どちらか一方には決められない!」という方は、貸店舗付きの賃貸住宅経営という方法もあります。

この方法であれば、適正な立地条件と適正な家賃設定をしていれば、うまくいけば安定した高収益を享受しつつ税金対策も可能です。
ただ、それぞれの良さを十分に発揮できない面も持ち合わせますので、中途半端な結果に終わってしまう可能性も否めません。

まずは信頼できる専門家を探して、どんな活用方法を目指したいか相談するのが理想的な第一歩です。

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