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2023年4月1日スタート!越境した枝による民法改正点について解説

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2023年(令和5年)4月1日の民法改正により、越境した枝の切除に関する規定が変更されます。
ここでは、これまでの隣地から越境してきた枝・根の切除問題や空き地の枝問題、2023年(令和5年)4月1日の民法改正点について解説します。

これまでの隣地から越境してきた枝・根の切除問題

これまで隣地の木の枝が越境している場合は、木の所有者に切除してもらう必要がありました。
一方、根が越境している場合は、自分で切除しても可能となっています。

枝については、木の所有者が必ずしも切除するとは限りません。
任意の履行がなく、強制的に枝の切除を求めるのであれば、訴訟を提起した上で勝訴しなければならないのです。

枝を勝手に切除すると、木の所有者に対しての不法行為となり、損害賠償請求される可能性もあります。
また刑事上の器物損壊罪に該当する場合もあるのです。

過去の裁判例では、枝の切除を請求できる要件として、単に枝が越境しているのみならず、何らかの被害が生じているか、被害が生じる恐れがある場合などが求められています。

しかし、これらの被害がないにもかかわらず、枝の切除を請求すると権利の濫用にあたる可能性もあると述べています。
(新潟地裁昭和39年12月22日)

そのため、何らかの被害が生じているケースでは、木の所有者に対し、所有権に基づく妨害排除請求権を求めることができるのです。
実際に被害が生じているかどうかの証拠を保全するためには、被害状況や写真などを記録しておく必要があります。

ただし、判決によっても切除に応じない場合は、木の所有者に変わり、強制執行の中の代替執行という相手方の代わりに自分または造園業者などの第三者に依頼し、枝の切除を行い、その費用を相手方に請求するといった流れになります。

実際に訴訟を提起する場合は、時間と労力がかかり、裁判費用も発生するため、現実的ではありません。
弁護士に依頼すると、弁護士費用もかかります。

空き地の枝問題について

隣地の木の枝が越境していても、空き地の枝である場合もめずらしくありません。
空き地の場合は、隣地の所有者が不明であるため、連絡が取れず、枝の切除をお願いすることもできません。

また、登記上の所有者がすでにお亡くなりになられているケースもあり、相続登記がされていないこともあるのです。
このようなケースでは、被告は住所不明として調査報告書を提出し、公示送達により訴状を送達するなどの対応になります。

そのため、手続きが複雑であり、時間と労力もかかる上、土地の所有者を探すことは困難です。
一方「空き家対策特別措置法」により、問題のある空き家は「特定空家」に指定され、行政指導や命令に従わない場合、最終的には行政代執行の対象となります。

2023年(令和5年)4月1日の民法改正点

隣地所有者が任意に枝の切除に応じない場合は、以下のようなケースで自らが枝を切除できることとなりました。

相当の期間を定めて催告したにもかかわらず切除しない場合

(改正民法233条3項1号)

相当の期間については、一般的に2週間程度と言われています。
口頭の催告では、言った言わないなどのトラブルになる可能性もあるので、内容証明郵便を活用するのが確実です。

隣地所有者を特定できず、またはその所在を知ることができない場合

(改正民法233条3条2号)

特定できないまたは所在を知ることができないというのは、単に調べただけでなく、現地調査や不動産登記簿、立木登記簿、住民票調査などは行った方がよいでしょう。

急迫の事情があるとき

(改正民法233条3項3号)

通常、裁判手続きによる時間がないことを指します。
たとえば、崩壊や倒壊しそうな建物について補強工事などを行う場合や台風により、枝が折れ、隣地に落下するような場合です。

隣地の枝が邪魔になり、すぐに切除しなければならない状況などです。

共有に関する規定

(改正民法233条1項2項)

  1. 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる
  2. 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。

つまり、共有者の1人から枝の切除について承諾を得れば、他人がその共有者に代わり、枝を切除することが可能になります。

一方、根の越境については、従来どおり、自分で切除しても可能となっています。
雑草においても隣地に迷惑がかかるケースも少なくありません。

しかし、民法上の「竹木の枝」が雑草に該当するのかは明らかになっていません。

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