新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界的に大きく拡大しました。
その結果社会構造だけでなく経済にも大きな影響を与えています。
そんな中、貸店舗や賃貸店舗の空室等にも大きな影響を与えています。
具体的にはまずコロナ以前とコロナ下においては募集区画が増加しているということと募集期間が長くなっています。
そこで実際に具体的にはどのような状況になっているのかということを解説します。
また、コロナ下においては以上のような状況になると、テナントがなかなか決まらないということになり、そこで発生する経済的な問題としては、空室による収入源ということになります。
このように空室になっている場合にそれを対応する施策が考えられ、その施策についても3件ご紹介します。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、人と人が接触することを極力避けざるを得ないという状況を生み出しました。
そのため学校や職場では自宅で勉強したり仕事をせざるを得なくなるということになり、その結果店舗へ買い物や食事等をしに行くということがめっきり減ってしまいました。
店舗側からすると、お客様が来店しないということで経済的な損失が極めて大きくなってしまうため、お店を閉店しなければならなくなるという事態になりました。
そこでここでは次の条件で空室の募集状況がどのようになっているのか説明します。
それでは、コロナ下における募集期間がどのように変化したのかということを説明します。
実際に具体的には募集期間はコロナ以前とコロナ下ではどのような状況が起きているのかというと、時系列でいうとコロナ以前2018年及び2019年とコロナ下である2020年〜2022年にかけて募集期間は1.8〜4倍近くになっていることがわかりました。
次に面積別で調査をしてみると、こちらは面積に関係なくコロナ下の募集期間がコロナ以前よりも長くなっています。
具体的には50坪未満の場合は2倍、50〜100坪未満は1.75倍、100〜200坪未満は1.57倍、200〜300坪は1.5倍、300坪超になるとなんと3倍となります。
それでは賃料総額については募集期間がどの様になっているのでしょうか。
賃料総額についてもやはりコロナ下の方がコロナ以前と比べると長くなっている傾向が見られます。
賃料別に言うと、賃料が500万円未満の場合は2倍、500〜1,000万円未満の場合は約1.5倍、1,000〜2,000万円未満の場合は約1.8倍、2,000〜3,000万円未満は約2,3倍、3,000万円以上になると、1.5倍という数値が出ています。
このように以上の点から見ても、コロナ下においては賃料の募集期間が長期化しているという傾向が如実に出ているということがわかります。
一般的に募集区画の面積が50坪未満であったり、賃料総額が500万円未満ですと面積の希少性などで賃料を圧縮することができるということもあり、テナントに人気が高い傾向があります。
ただし、これは募集区画の全体的に言えることになりますが、立地条件がテナントの業態に適合しない場合には、募集期間が長期化する傾向が見られるのも、今回のコロナ下における募集区画の全体的な傾向と言えます。
コロナ下においてテナントが退出してしまった区画について、次の後継テナントが見つからない状態という傾向がコロナ以前と比べると増えているというのが現状です。
ここで大きな問題となるのは、物理的にテナントが入居していないということになるため、その間は賃料収入が入らず、その結果収入源になるということです。そのためテナントが入居するまでの間空室対策をするということも、収入源をカバーする上で重要な施策です。
そこで具体的に国内外ではどのような空室対策をされているのか、以下詳細に解説します。
まずポップアップストアとはなにかというと、これは期間限定の店舗のことを指します。
ポップアップストアの出店傾向としては、コロナ以前の2019年が195件と前年比80数%の増加でした。
ところが翌2020年になると、コロナの影響を受けて92件まで減り、前年比約53%減という結果になりました。
しかし、2021年には復調して134件、2022年には172件と順調に増加傾向にあります。
ポップアップストアは期間限定ということもあり、賃借期間は短く1〜3ヶ月ほどになりますが、テナントによっては3年というケースも見られます。
また、業態としては全体の80%がファッションやラグジュアリーブランド、アウトドアスポーツが占めていますが、エリアによってはアニメ、カプセルトイ、食物販などにも利用されています。
賃料についても、プロモーションやマーケティングなどで活用する場合は、賃料相場を超えることがあります。
ただし、物販などの場合は店舗の採算性が重要になるので、賃料が相場よりも下がることもあります。
空室区画の貸し方としては、通常の賃貸のようにオーナー(大家)がテナントに賃貸するという方法と、広告代理店に賃貸をして運営を委託するという2つの方法があります。
また、店舗の用途によって新たに空調設備や調理器具の設置や前面道路の格差を直すといった別途内装費用がかかる場合もあります。
デジタルサイネージはそれほど多く利用されていませんが、若い人たちが多く集まる地域例えば、表参道や原宿、渋谷などに見られる壁面広告のことをいいます。
広告掲載する基準としては、まず区画が接する道路にどれだけ多くの歩行者が通行するのかということをしっかり調べる必要があります。
広告は歩行者に気づいてもらって関心を持ってもらうということがとても重要なので、認視件数はとても重要な要素です。
物理的には区画の間口の大きさや外観にどのような素材が使われているのかということもデジタルサイネージを展開する上で重要な要素となります。
デジタルサイネージの大きなメリットとしては、設備投資や機器導入などのコストが殆どかからないので、投資コストを早期に回収することができるということです。
また、業態も自動車、家電、観光などが見受けられますが、今後効果によって他の業態の参入も期待できます。
一方で広告の掲載期間がポップアップするとあと比べると2週間〜3ヶ月までと短いので、収入もその分少なくなるという点が難点と言えるでしょう。
メディテルという言葉はあまり耳にしたことがないと思うのですが、メディテルはニューヨークで多く見られる医療系サービス店舗です。
メディテルはコロナ下において人々の健康志向が強くなったことを背景に、空室区画への出店が見られ、それに加えて賃料相場が下がったことも追い風となり、出店傾向高まっているというのが現状です。
広さも千差万別で医療行為を専門とする場合には50坪ほど、それに加えて専門家によるトレーニング施設が併設されている場合には200坪ほどあったりします。
これらの医療サービス施設の出店が増加しているのは、人々のニーズに合致している他、心身ともにアクセスしやすという点を挙げることができます。
この傾向は日本でも今後出店される可能性はとても高いと言えるでしょう。
インターネット技術が進化したことで高速・大容量の5G回線を活用することで、通信速度が高速になっただけでなく高解像度の動画を楽しむことできるようになり、その結果AR(拡張現実)を使った体験施設を空室対策としてロンドンの好立地で利用されています。
好立地ということもあって、多くの人も集まるということもあり、賃料レベルも高い基準でも採算性が高い傾向があります。
ただ、こちらで注意しなければいけないこととしては、体験施設が建築基準法や消防法上の制限がどの様になっているのかということを事前に確認するということです。
以上のように空室対策については様々な対応が見られますし、コロナがほぼ収束している現状において、空室対策には大きな変化が見られるだろうと思われます。