生活保護受給者が部屋を借りる際に「気に入った物件では入居を断られるのではないか?」
「どんな物件であれば受け入れてくれるのだろう」などと、悩むこともあるのではないでしょうか。
日本国憲法では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定められています。
つまり、誰でも生存権を持っているのです。具体的な内容は「生活保護法」に規定されています。
厚生労働大臣が定める基準で算出される最低限の生活費と収入を比較し、収入が最低限の収入に満たない場合に収入を差し引いた額が支給されます。
この支給を受けている方が生活保護受給者です。
働いているからといって生活保護を受けられないわけではありません。
また、生活保護には年齢制限は設けられていません。
一般的に部屋を借りる場合は、不動産会社や保証会社の審査に通らないといけません。
その後もケースワーカーによる物件の審査があるのです。
同様の審査を通過すれば、生活保護受給者も賃貸物件を借りられないということはありません。
しかし生活保護受給者の場合は、家賃滞納や金銭トラブルなどが懸念され、審査に落ちてしまうケースも少なくありません。
生活保護費を使い込んで家賃が払えなかったり、物件の修繕費用を支払わなかったり、入居者同士でトラブルが起こるなどがよくあるケースです。
また、一般的な賃貸借契約よりも手続きが増えるため、入居を受け入れない方針をとる不動産オーナーも珍しくありません。
とはいえ生活保護費は毎月支払われるため、前向きに捉えてくれる不動産オーナーもいます。
生活保護受給者は、住宅扶助制度を利用することができます。
住宅扶助とは、家賃、間代、地代等について、定められた範囲内で実費が支給される制度です。
具体的な金額は、東京都23区の場合、単身世帯・床面積15平米超で53,700円となっています。
ただし共益費や管理費、水道光熱費などは住宅扶助の範囲とはなっていないため注意が必要です。
住宅扶助は許可をもらう必要があるため、まずは自治体のケースワーカーに相談しましょう。
相談に行くタイミングは、引越しの約3ヶ月前ぐらいがよいでしょう。
代理納付は、家賃等の支払いが滞納しないよう自治体が代理で振り込んでくれる制度を指します。
生活保護受給者が支給されたお金を何らかの理由で使ってしまったりするケースもあるためです。
ただし特別な要件はなく、生活保護法で定められているわけではありません。
自治体の裁量に委ねられています。
代理納付は申請が必要です。
すぐに受理されるとは限らず、初月の家賃支払いに間に合わない可能性もあるため、注意が必要です。
保証会社を利用するのも1つの方法です。
しかし、家賃滞納歴や信用情報にキズがある場合は、審査に通らない可能性もあります。
住宅扶助の上限を超えないように物件を選ぶことが大切です。
こだわりすぎると住宅扶助の金額を超えてしまい、生活費から家賃を捻出しなければなりません。
また、不動産会社にはあらかじめ生活保護受給者であることを伝えておく必要があります。
物件の候補が決まったら初期費用の見積もりを作成してもらいましょう。
物件情報と見積額をケースワーカーに報告し、ケースワーカーから了承を得る必要があります。
ケースワーカーの了承を得た後、不動産会社または不動産オーナーが入居審査を行います。
入居審査を通過後は初期費用の準備や日程を決め、賃貸借契約を結びます。
引越しの際は一定の条件を満たすと、住宅扶助の中から引越し費用が支給されます。
生活保護受給者は、不動産会社や保証会社の審査に通る必要がありますが、部屋を借りることができます。
住宅扶助制度を利用しケースワーカーと相談しながら物件を探すことになりますが、住宅扶助には上限があるので金額がオーバーしないように注意しましょう。
ある程度、妥協をしながらスケジュールに余裕をもって行動することがポイントです。