物件に設置されたガス配管や給湯器などを月々のガス料金に上乗せするといったLPガスの商慣行が問題となっています。
2023年2月には、経済産業省が毎月のガス料金を含めて請求しないよう求める方針を示しています。
経済産業省の有識者会議は2023年春、約7年ぶりに再開し、夏をめどに報告書を取りまとめ、制度改正を目指しているということです。
(参考:産経ニュース「LPガス、不透明な料金慣行是正へ議論本格化 経産省」)
(参考:朝日新聞デジタル「LPガス料金、月数千円を上乗せ 違約金20万円請求の業界慣行も」)
LPガスは石油ガスを液化したものを指します。
つまり、液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)の頭文字をとったものになります。
LPガスは、主原料がプロパンガスのため、プロパンガスと呼ばれる場合があるのです。
主原料がブタンが使用されているものやブタンガスにプロパンガスを混ぜたオートガスなど、これらを総称してLPガスと呼ぶケースもあります。
LPガスは空気より重く、本来は無色無臭ですが、あえて匂いを付けています。
プロパンガスは、ガスボンベで運ぶため、設置がしやすいのが特徴です。
また、災害にも強く、仮設住宅や避難所などにもすぐに設置ができます。
プロパンガスは、プロパン・ブタンを主成分とする液化石油ガスが主原料です。
都市ガスは、メタンを主成分とする天然ガスが主原料となります。
プロパンガスは、都市ガスの2倍程度の発熱量があります。
そのため、中華料理店ではプロパンガスを使用するケースが多いです。
一般的には、プロパンガスの方が都市ガスより費用が高い傾向にあります。
都市ガスは、ガス事業法により「総括原価方式」によって料金が設定されます。
総括原価方式は、原価を基準として一定の報酬を上乗せした方法です。
基本料金+従量料金(単価×ガス使用量)で金額が決まります。
一方、プロパンガスは「自由料金制」が採用されています。
最近では、エアコンやインターホン、宅配ボックスなどもLPガス会社が無償で設置するケースもめずらしくありません。
これらは、不動産会社やオーナーの要求がエスカレートしている傾向にあります。
経済産業省「第4回 液化石油ガス流通ワーキンググループ 事務局提出資料」によると、集合住宅のオーナー(建物管理会社を含む)からの要求に応じて機器の負担をしたと回答したLPガス会社は約6割に上ります。
無償貸与の要求を断るとLPガス供給を受注できなくなることから、LPガスの料金を上乗せ、入居者から回収するといった仕組みになっていると考えられます。
参考:経済産業省「第4回 液化石油ガス流通ワーキンググループ 事務局提出資料」
前述したとおり、プロパンガスは「自由料金制」が採用されています。
そのため、住宅設備を無償で設置し、入居者から回収するといった仕組みができてしまうのです。
昨今の物価高騰の中では、料金を上げやすくなるため、何度も値上げされる可能性も否定できません。
ただし、入居者はプロパンガスと都市ガスを選べないため、お部屋探しの段階からよく検討する必要があります。
無償貸与を受ける際は、最低契約期間が定められている場合もあります。
最低契約期間内に解約すると違約金が発生することもあるため、注意が必要です。
また、プロパンガス会社を切り替えを行うときにも違約金が発生する場合もめずらしくありません。
しかし、過去の判例では、判例では、280万円の違約金の支払いを求める条項において当事者間の合意の成立を否定し、支払い義務なしとしています。
プロパンガスの設備導入に関する費用は、入居者が負担することになるため、ガス代が高くなったことで不満が高まります。
その結果、家賃減額を請求する可能性があります。