不動産投資で知っておきたいのがローンの元本返済額が減価償却費を上回る「デッドクロス」です。
デッドクロスが起きると、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
今回は、デッドクロスの仕組みや減価償却費の計算方法、デッドクロスのメリット、回避策を解説します。
デッドクロスは、ローンの元本返済額が減価償却費を上回る状態を指します。
帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、所得税額が増えることで資金繰りが悪化するのです。
そのため、キャッシュフローと帳簿上の利益は、別のものと考えなければなりません。
ローンは、元金返済額と利息に分けることができます。
元金返済方法は、元利均等返済と元金均等返済があります。
元利均等返済は、毎月決まった金額を支払います。
返済開始当初の負担が少ないのが特徴です。
元金均等返済は、毎月決められた元金額を支払うことです。
返済開始当初の負担が大きいですが、返済が進むにつれ、金額が少なくなってきます。
元金返済額は、帳簿上の必要経費とすることはできないため、キャッシュの支払いが生じることになります。
必要経費にできないのは、売上ではないためです。
売上から経費を差し引いた利益については必要経費が可能となります。
一方、利息分は必要経費として計上することが可能なので、キャッシュの支払いは生じません。
減価償却費とは、不動産の取得費用を一定年数に分けて計上していく経費を指します。建物は、経年劣化により、価値が下がることが一般的です。
減価償却は、数年~数十年かけて分割して経費を申請できます。
減価償却期間は、建物の構造別で分けられています。
減価償却費には、定額法・定率法・簡便法があります。
定額法は、毎年一定額の減価償却費を計算する方法です。
定額法の償却率は、耐用年数によって定められています。
定額法の償却限度額=取得価額×定額法償却率
定率方は、最初のうちに多くの減価償却費を計上し、その後、少しずつ減価償却費が減少していく方法です。
定率法の償却限度額=(取得価額-償却した金額)×定率法償却率
簡便法は、中古の投資物件で使用される計算方法です。
法定耐用年数を超えるか、超えないかで計算方法が異なります。
耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+築年数×20%
耐用年数=法定耐用年数×20%
ローンを完済していない状態であれば、減価償却期間が終わっているため、築年数が古い場合が多く、売りにくいといったデメリットがあります。
税法上の利益は黒字であっても手元にキャッシュがない場合は、黒字倒産になる可能性も否定できません。
物件を購入する際、収支に関するシミュレーションを行うことが重要です。
不動産会社や税理士などに相談しながら、最適な方法を見つけましょう。
デッドクロスの回避策だけでなく、住宅設備の交換や大規模修繕などを踏まえた資金計画を行うことが必要です。
キャッシュフローがマイナスの状態でも税法上の利益が出ている場合は、税金の支払いが必要です。
そのため、物件購入する際に自己資金を増やしておくことが大切になります。
自己資金を増やしてからローンを組むと、返済額の負担も軽減できます。
減価償却期間が長い物件を購入することで、ローン返済期間の差を縮小し、デッドクロスを回避できる可能性があります。