毎年、不動産の所有者に送られてくる固定資産税納税通知書ですが、固定資産税額が間違っているかどうか確認したことはありますでしょうか?
固定資産税評価額の計算は複雑で誤りが発生する場合もあります。
そこで今回は、固定資産税の仕組みや固定資産税の課税ミス、対処法について解説します。
毎年1月1日現在に土地や家屋、償却資産を所有している人に対して課せられる地方税を指します。
固定資産が所在する市区町村(東京都23区内においては、特例で都)に課税します。
固定資産税の対象となるものは、以下のとおりです。
家屋は、土地に定着して建造され、風雨をしのぐことのできる建物を指します。
登記登録に関係なく、課税の対象となります。
償却資産は、毎年1月1日の時点で所有している土地や家屋以外で事業の用に供することができる物を指します。
例えば、会社で使用するコピー機やFAX、パソコン、備品などで経過とともに価値が減少するものです。
ただし、耐用年数1年未満又は取得価格10万円未満の償却資産で一時に損金算入したもの、取得価格20万円未満で3年間の一括償却をしたもの、無形減価償却資産などは除かれます。
償却資産は、1月31日までに償却資産の所在する市区町村役場(東京23区内では都税事務所)に申告したうえで課税されるのです。
固定資産の評価額は、総務省の定める固定資産評価基準に基づき評価されます。
固定資産税=課税標準額(固定資産税評価額)×税率(1.4%)
固定資産税評価額は、固定資産税を算出する際に基準となる価格です。
固定資産税路線価とも呼ばれています。3年ごとに評価替えが行われます。
税率は、市区町村によって異なる場合があります。
固定資産税は、市区町村が作成する課税台帳に基づき課税されますが、課税ミスが発生することも少なくありません。
特に電子化が進んでいなかった時期は、多く発生していた経緯があります。
2012年(平成24年)に総務省が公表した「平成21年度から平成23年度における固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」によると、納税義務者総数に占める修正者の割合は、土地・家屋ともに0.2%となっています。
つまり、1,000人に2人が固定資産税及び都市計画税の何らかの修正を行なっているということです。
また、税額修正した納税義務者数が1人以上あった市町村は、調査回答団体のうち97.0%という結果となっています。
この調査により、ほとんどの市町村で固定資産税などの誤りが生じていたことがわかります。
(参考:総務省「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果 」)
土地であれば、路線価のミス、補正率の適用ミス、土地の価格入力ミス。
家屋であれば、経年減点補正のミス、附帯設備や構造の把握ミスなどが考えられます。
日本国内の土地は、約2億3,000万筆あると言われています。
(参考:衆議院「第198回国会 法務委員会 第13号」)これらをすべて役所の職員が誤りなく管理できているとは言い切れません。
例えば、同じ市、同じ町に同姓同名の人が2名いる場合に入れ替わって掲載されているケースもあるのです。
国税は「KSK(国税総合管理)システム」が全国の税務署に導入されています。
一方で地方税は、各自治体が個別にシステムを発注しているため、誤りが生じる場合があるのです。
店舗経営で非住宅用地として課税を受けていたが、途中で閉店し、居住用に変更したケースです。
この変更が反映されず、非住宅用地として課税されている場合もあります。
また、住宅用地の特例が適用されていないミスも存在します。
納税通知書の交付から3カ月以内であれば、固定資産評価審査委員会に対して審査申出書の提出が可能です。
行政不服審査法に基づく審査請求を行います。
納税通知書の交付を受けた日以後3か月以内に文書を提出します。
ただし、「不服審査などを経ていなくても、公務員が法的義務に背いて税額を過大に決定した場合は、国家賠償請求を行いうる」と示した最高裁判例があります。(平成22年6月3日最高裁(第一小法廷)判決)