近年の不動産高騰に伴い、評価額が市場価格を大きく下回ることを利用した「タワマン節税」を防止し、税負担の公平化を図る狙いがあります。
国税庁は2024年以降の適用を目指します。
引用元:共同通信「タワマン節税防止に新算定方法案 「評価額」市場価格の最低6割に」
相続税評価額と購入価額の大きな乖離が見られることを利用した節税方法を指します。
相続税が発生する場合、被相続人の財産の価格は、国税庁が定めている財産評価基本通達によって決められます。(相続税評価額)現金で相続すれば、現金=相続税評価額となります。しかし、マンションの場合は、時価よりも低く算出されます。
不動産の相続税評価額とは、相続税や贈与税を算出する際に基準となる価格です。相続税評価額は、高いほど相続税が高くなります。相続税を低くしたい場合は、財産の評価額を低くする必要があります。
土地は「路線価方式」もしくは「倍率方式」で算出されます。
建物は、固定資産税評価額を基準として相続税評価額となります。
一般的な建物は、固定資産税評価額の60%程度です。時価よりも低く評価されますが、タワーマンションは、さらに評価額が低くなる傾向にあるのです。
「タワーマンション節税」とは、財産を低くする手法として、タワーマンションを購入し、相続税の負担を軽減させる方法です。
マンションの相続税は、土地と建物それぞれに評価額を決めます。路線価などで算出されますが、原則、階層は反映されません。
つまり、物件の専有面積が同じ場合、高層階であっても低層階であっても基本的に同じ金額となります。
相続税対策のためにタワーマンションを購入するケースです。前述したとおり、相続税評価額は時価に比べ、大幅に低くなる可能性があります。
なかでもタワーマンションは時価と相続税評価額に大きな乖離が見られます。
タワーマンション敷地の相続税評価額は、全敷地の評価額にその部屋の床面積を按分して算出します。タワーマンションは戸数が多く、一部屋あたりの敷地の相続税評価額も低くなるケースも少なくありません。
相続税評価額と時価の差額は、節税効果を得られる可能性が高いです。
小規模宅地等の特例とは、相続した土地の相続税評価額を最大80%削減できる制度です。タワーマンションでも小規模宅地等の特例を活用することができます。
200㎡以下の住宅地に対し、固定資産税は6分の1以下になるという規定があります。
※タワーマンションの敷地は、敷地全体の評価額を戸数で割って算出するため、敷地の固定資産税は6分の1になることがほとんどです。
タワーマンションの節税は、マンションの価格が変わらないことが前提です。マンション価格が下落すると、相続税は下げられたとしても資産価値は減ってしまうため、注意が必要です。
タワーマンションの購入が明らかに節税目的であると判明した場合、税務署に否認されるケースもあります。
そのため、節税のみの目的でタワーマンションを購入することはおすすめできません。
最近では、タワーマンション節税に関する最高裁判決で相続人側が敗訴した事例があります。
金融機関からの借入を原資にタワーマンションを購入。相続税の節税を行うスキームについて、納税者と国税当局が争った事案です。最高裁では、金融機関からの借入金が節税目的だったため、相続人側が敗訴しています。
2022年12月にタワーマンション節税の相続税対策において、相続税評価額の算出方法の見直しが行われることが決定しています。
国税庁は、タワーマンションの高層階になるほど相続税評価額も高額になるよう検討しています。