念願のマイホームを手に入れよう!と家を建てている途中……建設会社が倒産してしまう、なんて事も実は起こりえます。
万が一このような状況になると、家を購入した側はどうなるのでしょうか。
なぜ建設途中にも関わらず倒産するのかというと、持続化給付金の返済が始まった企業が多いためです。
持続化給付金とは、新型コロナウイルスの感染拡大により、大きな影響を受ける中小企業および個人事業主が事業を継続できるように支給された給付金です。
給付額は最大で、法人は200万円、個人事業主は100万円となっています。
返済が難しい場合は金融機関で借り換え申請を行う場合もありますが、審査が通らない場合もめずらしくありません。
そのため、企業が存続できず倒産するケースが増えているのです。
建設業の倒産は増加傾向にあり、中小企業庁の発表によると、2022年の建設業の倒産件数は1,194件となっています。
2019年は1,444件、2020年は1,247件、2021年は1,065件です。
これに加え、建築資材や輸入木材の価格高騰などもあり、採算が取れなくなった企業が少なくありません。
さらに近年は人材不足も深刻化しています。
下請けの場合は、受注の際、元請け業者から最低作業人数の指定があるケースもあるため、人数が足りない場合は受注できない場合もあるのです。
もしハウスメーカーや工務店などが、建物の建築途中に倒産すると法的整理が行われます。
倒産手続は、法的整理と私的(任意)整理があります。
法的整理は、破産法に基づく破産手続、会社法に基づく特別清算、民事再生法に基づく民事再生、会社更生法に基づく会社更生の4種類です。
破産手続、特別清算は「清算型手続」、民事再生、会社更生は「再生型手続」となっています。
破産手続きとは、破産法に基づき、裁判所によって選任された破産管財人が財産を処分して債権者への支払いを行うために必要な手続きです。
破産法53条1項により、、破産管財人が請負契約の解除を行うか、施工業者の工事を完成させるなどをして、請負代金の請求するかの方法となります。
施主から破産管財人に対し、解除をするか、債務の履行をするかを催告し、その期間内に返答がなかった場合は、契約解除をしたものとみなされます(破産法53条2項)。
倒産した会社から建築を継続してくれる引き受け先を確保してくれるのであれば、完成した家の引き渡しができる可能性が高いです。
そうでない場合は、自ら建築業者を探すことになります。
支払った着手金や中間金などは戻ってこないケースが多いでしょう。
また、注文住宅を建てる場合は、手付金が戻ってこないことがほとんどです。
民事再生は、民事再生法に基づき、債権者の多数の同意、かつ裁判所の認可を受けた再生計画を定めることにより、債務の一部の免除を受け、再生を図る手続きです。個人だけでなく、法人も対象です。
会社更生手続は、会社更生法に基づき、会社債権者等の利害関係者の多数の同意により、更生計画を定め、事業の維持、更生を図る手続きです。
民事再生や会社更生では、工事が再開される場合もあります。
しかし、施工業者・施主双方の債務が完了していない場合、請負契約が解除されることもあるため注意が必要です。
会社設立年数が浅い業者は、社内の状況が健全ではないこともめずらしくありません。
倒産する会社は、設立から数年ほどしか経っていないケースも多くみられます。
担当者がコロコロ変わり、建物が完成するまで終始、心配になるといった状況です。これでは顧客との信頼関係がなかなか保てません。
また、職場についても給料が未払いであったり、パワハラが横行しているような環境の会社には、依頼しない方がよいでしょう。
見積もりの内容が明確でなく、工事一式と記載されている場合はトラブルの原因になっていることも少なくありません。
このような見積もりの後に建物が完成すると、依頼した工事内容とは異なる、思った以上の金額を請求されたり、多額の追加費用を請求されることもあります。
たとえば、修繕のタイミングが同じ住宅設備の場合、詳細を記載せずに「見積もりの一式には入っていなかった、追加料金が必要になる」などのケースです。
見積もりの内容は、詳細に記載されていることを確認しましょう。
また、見積もりは一社だけではなく、複数の業者から相見積もりを取っておくことが大切です。
住宅完成保証制度は、注文住宅の建築中に施工業者が倒産などで工事が継続できなくなった場合、建て主が最小限の追加予算を払うことで住宅の完成を保証してくれる制度です。
追加分を補填してくれる「保険タイプ」と保証会社があらかじめ建築資金を預かり、建築会社が倒産した場合でも損失を最小限に抑えられる「エスクロータイプ」に大きく分けられています。