連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が0.75%の利上げを決定、3回連続で0.75%という異例の利上げに踏み切りました。
背景には、新型コロナウィルスやロシアによるウクライナ侵攻などの影響によるインフレ抑制に向けた金融政策です。
6月に米連邦準備理事会(FRB)が行なった1回目の利上げとしては通常の3倍の上げとなっています。
FRBは、断固として利上げを継続する認識を示しています。
一方、日本では円相場が1ドル=一時145.85円まで上昇したことを受け、9月22日に2兆8000億円もの円買い・ドル売り介入を行い、140円付近まで下落してます。
24年ぶりの為替介入となり、円安抑制が期待されていましたが、10月7日の東京外国為替市場では、円相場が再び1ドル=145円前後と上昇しています。
ユーロに対しては、前日と比べて1円30銭円高ユーロ安、1ユーロ=141円98銭から142円2銭となっています。
(参考:NHK「円相場 1ドル=145円前後に 米の大幅利上げ観測強まり円安進む」)
このように日米の金利差が開くなか、低金利で住宅市場を牽引している「変動金利型住宅ローン」に注目が集まっています。
日本では長年の低金利が続く中、今回の円安やインフレなどの影響により「そろそろ住宅ローンの変動金利型が上がるのではないか?」など、不安になる方も多いのではないでしょうか。
2022年4月の住宅金融支援機構による「住宅ローン利用者の実態調査」では、今後1年間の住宅ローン金利見通しについて「変わらないが」46.1%となり、17ポイントの減少です。
21年10月調査では、63.1%となっていました。
また、住宅ローン金利見通しについて「現状よりも上昇する」が23.1%から39.2%の増加となっています。
一方、金利タイプは、変動金利型73.9%、固定金利期間選択型17.3%、全期間固定型8.9%、となり、変動金利型を選ぶ人が圧倒的に多いことがわかります。
変動金利型の住宅ローン平均貸出期間は、2013年度に契約時に25. 1年だったのに対し、2019年度には27. 0年に延びています。
しかし、住宅ローンの商品特性や金利リスクの理解度については「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「まったく理解していない」と回答した人がおよそ半数に達しています。
(参考:住宅金融支援機構「2022年4月住宅ローン利用者の実態調査」)
返済中に適用金利が変動するタイプのローンです。
一般的には、金利が1年に2回見直されます。返済額の変更は、5年ごとに行われます。
ただし、金利は常に変動するため、最新の動向に注意しなければなりません。
固定金利型に比べ金利が低いことが最大のメリットです。
金利の大幅な上昇がなければ、返済額を抑えることができます。
また、金利が下がった場合は、総返済額も少なくなります。
しかし、金利が大幅に上昇すれば返済額が増えます。
なお、変動金利型は、見直し後の返済額は前回の1.25倍までしか上がらないルールが適用されるため、急激な返済額の増加は避けられるのです。
したがって、共働きなどで十分な収入がある人や収入が増える予定の人には、金利上昇があってもリスクを最小限に抑えられる可能性はあるでしょう。
前述したとおり、住宅ローン利用者の実態調査では、圧倒的に変動金利型が選ばれています。
その理由として、円安による物価高騰のなかで賃金の上昇がみられないために金利の低い変動金利型住宅ローンを利用している人が多いと予測できます。
2022年10月には消費者物価は3%を超えており、生活必需品の高騰が続いています。
そのため、家計の負担が大きく、住宅ローンは変動金利型を選ばざるを得ないという状況も考えられるでしょう。
大幅な金利上昇になる前に、固定金利型に借り換えた方がリスクを抑えられる場合もあります。
ただし、固定金利は変動金利よりも金利が高いため、借り換えの時期によっては返済額が高くなる可能性があるため、注意しましょう。
金利が上昇した場合は、繰り上げ返済を視野にいれなければならない場合もあります。
そのため、貯金を準備しておくことや家計の見直しが必要になってきます。
繰り上げ返済には、毎月の返済額が変わらず、残りの返済期間が短くなる「返済期間短縮型」と毎月の返済額が変わらず、毎月の返済額が少なくなる「返済額軽減型」があります。