鉄道大手18社の2021年4~9月
鉄道大手18社の2021年4~9月期の連結決算が12日出そろい、22年3月期の業績予想で12社が最終損益が黒字転換する見通しを示しました。
22年3月期の18社合計の最終損益は2259億円の赤字見通しで2期連続の赤字です。しかし、前期の1兆4671億円から大幅に改善しました。
そのような中、鉄道事業の伸び悩みは全社共通ですが、黒字化が見込む企業で不動産部門が好調となっています。
期の連結決算が12日出そろい、22年3月期の業績予想で12社が最終損益が黒字転換する見通しを示しました。
22年3月期の18社合計の最終損益は2259億円の赤字見通しで2期連続の赤字です。
しかし、前期の1兆4671億円から大幅に改善しました。
そのような中、鉄道事業の伸び悩みは全社共通ですが、黒字化が見込む企業で不動産部門が好調となっています。
最終損益は80億円の黒字で(前期272億円の赤字)見込んでいます。ビルの売却益約145億円を特別利益に計上、さらに分譲マンションなどの不動産販売が好調です。
所有8ホテルを米投資会社ブラックストーン・グループに売却した特別利益204億円などで、最終損益は340億円の黒字と従来予想から60億引き上げとなりました。
(参考:日本経済新聞「鉄道12社、最終黒字転換 18社の今期」)
2022年3月期の連結最終損益が44億円の黒字を予想と発表しました。道とバスの運輸業では66億円の営業赤字、不動産事業などが補い、黒字を見込むということです。
不動産業の売上高は、2009年度から2019年度の10年間で243億円から434億円へ増加しています。また、2014年には、泉北高速鉄道を買収にも貢献しています。
2021年4~6月期の連結決算は、営業収益が前年同期比5%減の1991億円、最終損益が93億円の黒字(前年同期は201億円の赤字)となっています。
(参考:日本経済新聞「鉄道大手16社、業績回復に差 東急や京急は黒字浮上」)
東急グループは、たまプラーザや渋谷ヒカリエ、あざみ野ガーデンズなど、多数の商業施設を展開しています。
鉄道会社の中には、不動産事業・ホテル・レジャー事業など、多角化経営を行っているケースが多くあります。
不動産事業では、沿線沿いで土地を活かした住宅開発などが鉄道利用者の増加につなげており、不動産と鉄道の相乗効果で収益向上を実現しているのです。
鉄道利用者の増加を見込んだホテル・リゾートの運営やアミューズメントパークなどを展開し、沿線価値の向上を目指しています。
例えば、東急電鉄系「東急ホテル」、西武ホールディングス(HD)系「プリンスホテル」、阪急阪神HD「第一ホテル」などがあります。
商業施設や百貨店、駅ナカなど、地域活性化や鉄道の利用者増加が期待できます。
例えば、JRの「ecute」「Dila」、阪急阪神「阪急百貨店」「阪神百貨店」、株式会社そごう・西武「西武百貨店」などがあります。
交通系ICカードのSuicaやPasmo、ICOCAなどの決済事業、ICカードと連動したクレジットカード事業、バスやタクシーの運輸業などです。
駅周辺にオフィスや商業施設、娯楽施設、ホテルなどを整備・開発することで、鉄道利用者の増加が期待できます。
防災トイレや防災倉庫の設置、非常電源の設置など、自然災害に対応するために防災を意識した街づくりに取り組む鉄道会社もあります。
例えば、JR西日本不動産開発株式会社では、耐震性や耐火性など建物の安全性に関する基準に適合し、被災時に役立つ設備・施設等を有する「防災力強化マンション」として、大阪市から認定されるなど、防災強化に取り組んでいます。
主な防災設備・施設は、まどベンチ、防災倉庫、マンホールトイレなどです。
(参考:JR西日本不動産開発株式会社「安全・防災への取り組み 駅から始まる街づくり」)
また、JR塚口駅周辺開発プロジェクト「ZUTTOCITY」では、ベンチに設置された「かまどスツール」、ガスト同時に発生する熱を有効活用する「ガスコージェネ」、非常用発電機、防災備蓄倉庫などが設置されています。
今回は、鉄道会社の業績や多角化経営についての動向について解説しました。
鉄道会社は、利用者の増加を目指し、不動産事業に積極的です。
また、地域活性化や防災設備の設置など、不動産事業を通じて街づくりに寄与していると言えるでしょう。