国交省が指針案を公表!事故物件の告知義務について解説

2021.07.26

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部屋を借りる際に家賃が極端に安くなっている物件を見たことはないでしょうか。その物件は、いわゆる「事故物件」なのかもしれません。しかし、事故物件とは具体的にどのような物件を指すのか気になる方も多いと思います。そこで今回は、事故物件の種類や特徴、告知義務について詳しく解説します。

そもそも事故物件とは?

事故物件とは、その部屋で何らかの事件や事故で亡くなった物件を指します。例えば、部屋の中で起きた殺人事件、自殺、孤独死などが挙げられます。

自然死や病死などは、事故物件として扱わないケースも多いです。
しかし、法律上の明確な定義があるわけではありません。事故物件かどうかの判断は事例によってさまざまです。

賃貸物件の広告で「告知事項有り」「心理的瑕疵有り」と表示されている場合があります。

事故物件の原因となる孤独死の増加

東京都監察医務院が公表している、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、2018年に3,882人と増加傾向になっています。
(参考:東京都監察医務院「東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数」)

コロナ禍においても特殊清掃の相談や依頼が増えており、孤独死の増加が深刻となっています。

事故物件の種類

事故物件として扱われる物件は、4種類の瑕疵があります。
瑕疵とは、隠れたキズ・不具合・欠陥などを指します。

心理的瑕疵

心理的瑕疵は、見た目などの物理的な問題はなくても、その部屋を借りたくない心理的な抵抗を感じる状態です。
前述した自殺や殺人などが該当します。また、ゴミ屋敷や反社会的勢力の事務所であった場合も含まれます。

物理的瑕疵

物理的瑕疵は、建物や土地に物理的な欠陥があることを指します。
建物では、雨漏りや外壁のクラック、壁や床の亀裂、シロアリの発生、排水管・水道設備の故障、アスベストの使用、土地では、地盤沈下、土壌汚染などです。

法律的瑕疵

法律的瑕疵は、法律的な問題が生じている物件を指します。例えば、建築基準法で容積率・建蔽率の基準オーバー、接道義務を満たしていない、構造上の安全性、旧耐震などがあります。
消防法では、火災報知器、誘導灯、誘導標識、スプリンクラー、避難はしご、ガス漏れ警報器などの設置義務違反などが挙げられます。

都市計画法では、用途地域ごとの容積率・建蔽率制や高さ制限などがあります。

また、基本的に開発行為が認められていない市街化調整区域に物件が建てられている法的瑕疵もあります。

環境的瑕疵

環境的瑕疵は、物件そのものに瑕疵がないものの、周辺に嫌悪施設があること、鉄道や道路の騒音、工場からの異臭など、環境的な要因で生じる問題です。

嫌悪施設とは、その名の通り、周囲から嫌われる施設を指します。
具体的には、公害発生施設、原子力関連施設、廃棄物処理場、下水処理場、風俗店、火葬場、刑務所、ガスタンク、火薬類貯蔵施設などです。

事故物件の特徴

賃貸物件を探すときにホームページや広告に「事故物件」と書かれていることはほぼありません。しかし、事故物件にはいくつかの特徴があります。

家賃が極端に安い

見た目から築浅とわかる物件でも家賃が極端に安い物件があります。周辺の相場とかけ離れていると、事故物件の可能性はあります。
とはいえ、必ずしも家賃が安い物件=事故物件ではないので、気になる物件は不動産会社に確認しましょう。

物件情報に告知事項ありの記載

物件情報に告知事項ありの記載があれば、事故物件の可能性が極めて高いです。物件情報サイトで「告知」というワード検索すると、告知事項ありの物件がヒットします。

部屋の一部がリフォームされている

内見時に部屋の一部がリフォームされていることに気づくことがあります。不自然なリフォームであったり、浴室だけが新しくなっている状況であれば、事故物件の可能性が高いです。

事故物件公示サイトで確認する

有名な事故物件公示サイトで、住所や物件名を調べると事故物件であることがわかるケースもあります。

事故物件の告知義務について

事故物件は、不動産会社から告知する義務があるのでしょうか?国土交通省の指針を踏まえて解説します。

宅地建物取引業法に規定

宅地建物取引業法47条1号では、重要な事項について故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならないと規定されています。
一方、告知義務の期間については明確な基準が設けられていなかったため、個別の事例で異なり、不動産会社の判断に委ねられていました。

国交省「事故物件の告知に関する指針案」を公表

国土交通省は、2021年5月20日に「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)を公表しました。
(参考:国土交通省「「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)」)

ガイドライン(案)のポイント

今回のガイドラインの対象は「居住用不動産」に限られます。オフィス等の不動産は対象外となります。

告知義務の事案と対象範囲

自殺や殺人、火災やガス漏れによる事故死、原因不明の死は告知が必要となります。
これらの事案は専有部分や室内が対象とされ、隣地や道路などは対象外となっています。

集合住宅では、共用部分のベランダ・玄関・エレベーター・廊下・階段など、日常生活で使用する場所も対象となっています。
また、長期間発見されず害虫が発生した場合に特殊清掃が行われたケースなどは告知の対象となります。

告知義務の対象外となるケース

老衰・病死などの自然死、搬送先病院で死亡した事案は対象外とされています。さらに、自宅での転倒、食事中の誤嚥、階段やベランダなどから転落する事故など、不慮の事故に関する死亡も対象外となっています。

告知義務の範囲や期間について

賃貸と売買ともに事案の発生時期や場所、死因について借主や買主に告げる必要があります。
期間については、賃貸の場合が概ね3年間は借主に告げるものとしています。
売買については、期間制限が設けられておりません。

まとめ

不動産の入口今回は、事故物件の種類や特徴、告知義務について解説しました。事故物件は「告知事項有り」「心理的瑕疵有り」と記載されていることがほとんどです。種類については、心理的瑕疵・物理的瑕疵・法律的瑕疵・環境的瑕疵があります。相場より家賃が極端に安く、一部にのみリフォームされている場合は事故物件の可能性が高くなります。しかし、必ずしも事故物件とは限らないので、不動産会社に聞いてみるのもひとつです。
告知義務については、国土交通省が指針案を公表しているのでそれらを確認しておきましょう。

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