地下鉄・東京メトロは2022年1月28日、有楽町線(豊洲―住吉間)と南北線(白金高輪―品川間)のそれぞれ延伸する事業許可を国土交通省に申請しました。
総建設費は、計4000億円と見込まれています。開業目標はいずれも2030年代半ばとされています。
(参考:日経クロステック「東京メトロの有楽町線・南北線延伸へ、建設費4000億円」)
2021年(令和3年)7月の交通政策審議会より、国土交通大臣に対して「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」の答申がきっかけです。
その中で整備対象には、有楽町線延伸(豊洲―住吉間)、品川地下鉄(白金高輪―品川間)、臨海地下鉄を挙げています。
政府は、令和4年度予算案に環境影響などの調査を補助する費用を計上しました。
つづいて、有楽町線延伸と南北線延伸をそれぞれ分けて解説します。
豊洲周辺を含む臨海地域は、国と東京都により、特定都市再生緊急整備地域や国際戦略総合特区のアジアヘッドクォーター特区に位置づけられ、近年多くの再開発が進展しています。
建設キロ4.8㎞、総建設費は約2,690億円です。
都市再生緊急整備地域とは、2002年都市再生特別措置法に基づき、都市の再生拠点として、都市開発事業などを通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進するべき地域として、政令で指定された地域を指します。
都市再生緊急整備地域は、51地域(令和3年9月1日時点)に指定されています。
また、2011年4月の一部法改正により、都市再生緊急整備地域のうち都市開発事業等の円滑かつ迅速な施行を通じて、緊急かつ重点的に市街地の整備を推進することが都市の国際競争力の強化を図る上で特に有効な地域として政令で定める地域を「特定都市再生緊急整備地域」と言います。
特定都市再生緊急整備地域は、15地域(令和3年9月1日時点)に指定されています。
主な支援措置として、下水の未利用エネルギーを民間利用する規制緩和、国際競争拠点都市整備事業、官民連携まちなか再生推進事業(国際競争力強化施設)などを創設しています。
(参考:国土交通省「都市再生緊急整備地域・特定都市再生緊急整備地域とは」)
アジアヘッドクォーター特区とは、2011年に国際戦略総合特別区域の一つで国の指定を受けたものです。
アジア地域の業務統括拠点や研究開発拠点のより一層の集積を目指し、東京の中心部に設けた6つのエリアで外国企業誘致プロジェクトを実施します。
6つのエリアは、以下の通りです。
日本経済の再生のため、東京都の中小企業やベンチャー企業が新技術や新サービスを創造する市場を目指すということです。
対象業種は、情報通信、医療・化学、電子・精密機械、航空機関連、金融・証券、コンテンツ・クリエイティブ等です。
目標として、アジア地域の業務統括拠点・研究開発拠点を5年間で50社以上誘致することを掲げています。
南北線延伸(品川・白金高輪間)周辺地域の品川駅周辺は、リニア中央新幹線の整備を契機に再開発を進めています。
路線は、品川駅で山手線、東海道線等のJR東日本主要幹線、羽田空港に連絡する京急線、東海道新幹線と接続し、六本木・赤坂等との都心部アクセス利便性向上等に寄与するとしています。
建設キロは2.5km、約1310億円です。
東京メトロは、2021年3月まで1年間のグループ全体の決算は、新型コロナウイルスの影響で最終的な損益は529億円の赤字となっています。2004年の民営化以降、初の赤字になりました。
今回の新路線で、業績回復や国際競争力の強化に期待が高まります。
今回は、東京メトロの新路線である有楽町線(豊洲―住吉間)と南北線(白金高輪―品川間)について解説しました。
東京メトロの延伸は、観光拠点や都心部へのアクセス利便性の向上、国際競争力の強化などの効果が期待されています。