マンション経営においては空室率の上昇を避けなければなりません。
そうした中、少子高齢化が進む日本では、バリアフリー住宅にも少しずつ注目が集まっています。
しかし「バリアフリー住宅はどんな住宅?」「介護が必要な親がいるのでバリアフリー住宅を利用したい」など、それぞれの状況で検討されている方もいるのではないでしょうか。
今回は、バリアフリー住宅の仕組みや必要性、バリアフリー住宅を事例をご紹介します。
「バリア(Barrier)」 障壁がない、「フリー(free)除去する、という意味で幅広い世代が安心で暮らすことのできる住宅のことを指します。
つまり、小さいお子さんから高齢者まで快適に過ごすことを前提とした住宅なのです。
最近では、ユニバーサルデザインの物件も多く見られるようになりました。
誰もが生活しやすい住宅として作られたものがユニバーサルデザインに対し、高齢者や体の不自由な方が安心して暮らすことができる住宅を「バリアフリー住宅」と呼ぶことが多いです。
高齢になると筋肉の衰えにより、部屋の中でも転倒事故が起きやすくなります。
そのため、段差の解消や手すりの設置など、バリアフリー化することで転倒事故の予防につながります。
バリアフリー化した設計、動線にした住宅であれば、高齢者が部屋の中を歩いたり、車椅子を使用して移動する際に体への負担軽減が実現できるでしょう。
バリアフリー住宅の具体例としては、以下のような設備があります
集合住宅の玄関部分に段差をなくすと、車椅子やベビーカーなどでもスムーズに出入りすることが可能です。
手すりが設置されているマンションでは、雨の日に床で玄関で滑りそうになっても転倒を防ぐことができます。
玄関前には、段差をなくし、手すりやスロープ、照明などの設置により、スムーズな動線となるでしょう。
また、浴室は大変滑りやすくなる場所です。バランスを崩し、転倒する可能性が高くなります。
浴槽付近に手すりを設置することで、転倒を防止します。
手すりの真ん中部分が床から120cm前後の位置が有効と言われています。
縦向きの手すりは、床から60cmから80cm程度、横向きの手すりは、床から75cmから85cm程度が適切でしょう。
浴室の大きさは、畳2枚分の大きさが理想とされています。
出入り口は、段差をなくす工夫が必要です。
一方、高齢になると立ったり座ったりすることが大きな負担になる場合もあります。
手すり付きのトイレにすることで安全に利用することができます。
建築基準法では、高さ1mをこえる階段には手すりを設けなければなりません。
また、階段の幅が3mを超える場合には、中間に手すりを設置する必要があります。
ただし蹴上(けあげ)が15cm以下で、かつ踏面が30m以上のものにあってはこの限りではありません。
家の中でつまずきによる転倒で大ケガを負ってしまう高齢者も少なくありません。
部屋の中を段差のないフラットフロアにすることで、転倒事故を防止することができるでしょう。
急激な温度差の原因により、血圧が大きく変動することがあります。
特に高齢者は、ヒートショックを引き起こす原因にもなるのです。
場合によっては、心筋梗塞や脳梗塞など、身体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
浴室乾燥機を利用すれば、急激な温度変化による血圧の変動を防ぐことができます。
開閉や出入りがしやすい引き戸を設置するのも一つの方法です。
引き戸であれば、ドアが障害物にならず、つまずいたり、車椅子がひっかかることもありません。
しかし、車椅子の幅は約40〜約70cm程度が一般的です。そのため、間口は広く車椅子でスムーズに出入りするには、最低でも有効開口幅は91cm必要です。
また、扉にレバーハンドルを付けるとよいでしょう。
照明については、点灯、消灯が押しやすいワイドスイッチを取り入れるなどの配慮が必要です。
国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」によると、通路の有効な幅員は85cm以上が理想とされています。
車椅子の使用を考慮した上で広く取ることが大切です。