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任意売却?競売?どう違う?

もし住宅ローンの滞納が続くとどうなるのでしょうか?
不動産を購入する際、購入した物件に抵当権の設定(担保)をし、ローンを組むのが一般的です。
返済が困難になり滞納額が増えると、「任意売却」と「競売」のどちらかを選択してローン残債を一括で返済しなければならなくなります。

具体的には抵当権が設定されている物件を差押、競売にかけられ、安価な金額で拒むことも出来ずに強制的に売却させられます。
このようなリスクを回避する一つの手段として任意売却があります。
どちらも不動産を処分するという点では同じですが任意売却と競売では大きく異なります。今回は任意売却と競売について分かりやすく解説してきます。

競売とは

債権者(金融機関など)が裁判所に申し立てることによって、抵当権が設定されている不動産や債務を差押え、裁判所の権限により強制的に売却をし、売買代金から支払いを受け債権の回収に充てる手続きになります。
最低売却価格を裁判所によって委嘱された不動産鑑定士によって決められ、そこから不特定多数の購入者が最高価格で売却をするシステムです。
オークションをイメージして頂けると分かりやすいです♪

この最低売却価格は競売という特殊性により市場価格の5~8割とかなり低く設定されおり、一般的に市場価格の8割前後で落札されることが多いです。
また売却金額が残債よりも低い場合、ローンの返済をし続けることになります。一度競売にまでいってしまうとなかなか競売を取り下げてもらうのは困難になります。

競売の場合、下記に記載する任意売却に比べると、債務者(所有者)自らが行う行動が少なく済みます。
また手続きが裁判所によって進められる公正であり、透明性の高い取引になることが特徴です。

任意売却とは

抵当権が設定されている不動産を強制的に売却するのが競売に対し、任意売却は売却後もローンが残ってしまう不動産を金融機関の同意を得て売却をする方法になります。
競売と違い全てを話し合いで決めることが出来る点が、任意売却の最大の特徴になります。また市場価格に比較的近い金額で売却することが可能になります。

通常の売却では仲介手数料など売買価格の3~5%程度の諸費用が必要になり、任意売却でも売却に係わる諸費用が必要になるのは変わりません。
ただし任意売却の場合は諸費用や滞納している建物管理費や修繕積立金などを売却したお金から支払うことが認められています。

また競売と違い債務者(所有者)の意思で売却することが出来ます。 ですが競売と同様に売却価格が残債よりも少ない金額で売却をすると残ったローンを返済することになります。

具体的に競売とどのように違うのでしょうか?

任意売却と競売の違い

 

競売の場合 比較項目 任意売却の場合
市場価格の5~7割程度になる可能性がある 売却価格 市場価格に比較的近い価格で売却することが可能
新聞やインターネット上に公開されるため知人や近所に知られる可能性が高い プライバシー 通常の売却と同じ方法になるため、知人などに知られずに売却することが可能
引越し費用など 持ち出し費用 売却価格から差し引かれるため不要
任意売却よりも多く残る可能性が高い 残債 競売よりも高く売却できるため競売よりも残債は少なくなる可能性が高い
一括の返済を請求され 残債の返済 無理の無い範囲で分割返済が可能
裁判所からの強制執行もある 引渡し日 事前に協議の上、決定できる
任意売却に比べ長め 期間 比較的短め

売却の流れ

ではどのような流れで売却・引渡しになるのでしょうか。

1.督促通知が届きます。

ローンの返済を3ヶ月から6ヶ月滞納した場合、返済についての連絡・督促状・最終通告書などといったローンの返済を要求する手紙や葉書が金融機関から届きます。
また住宅ローンの滞納をしていると信用情報機関で金融事故として処理されるため、新たにクレジットカードを組んだり、キャッシング(カードローン)の審査に通らなくなるブラックの状態になります。

2.金融機関は期限の利益を喪失させる手続きを開始します。

期限の利益を喪失すると債務者(所有者)はローンの分割払いが出来なくなり、一括払いへと移行します。 【期限の利益喪失】とは「債権者(金融機関など)は期限の到来前であっても、債務の履行を請求することが出来るようになります。(民法第137条)」 民法の規定に基づき、債権者は債務者に対し直ちに債務を履行(返済)するように請求することが出来ます。

3.期限の利益喪失により金融機関は保証会社に代位弁済の要求をし、保証会社が代位弁済を行います。

【代位弁済】とはローンの契約のとき、保証会社が債務者の保証人になっているのが通常です。そのため債権者の金融機関は保証会社へ残債を一括請求することができ、保証会社は債務者の変わりにローンの残債を肩代わりすることを代位弁済といいます。

4.保証会社から全額返済の督促や連絡が来ますがそれでも債務者が返済をしない(できない)場合

債権者は競売の申し立ての手続きを開始します。
金融機関によっては手続きの旨を予告通知するところもありますが、そのまま実行するところも多いので、不動産競売の申立がされてから数日で開始の決定が出ることも珍しくありません。
申立の後、裁判所が開始決定を出すと債務者へはその旨の通知が「担保不動産競売開始決定通知書」と呼ばれる所留意で届きます。
債権者のために不動産を差し押さえる旨が記載されています。また登記簿謄本にも差押の旨の登記が反映されるため、競売の事実が外部に公開されます。

5.裁判所執行官が競売物件の現状調査を行います。

登記簿謄本や固定資産評価証明書の記載事項を確認します。裁判所執行官が現状調査を行う際、不動産鑑定士と一緒に訪問するのが一般的とされています。
また現状調査は法律上の規定による手続きのため、所有者の意思に関係なく強制的に行われます。

6.現状調査が終了すると裁判所は競売物件の明細書や売却までのスケジュールを公開します。

一般公募で買受希望者を募集し、入札によって競売物件の買受人を決定します。
競売で行われる入札には期間入札と期日入札があります。

  • 【期間入札】とは1週間前後の一定期間を定めて入札を行う手続き
  • 【期日入札】とは入札から落札まで1日で終わらせる手続きです。

競売物件の売却手続きは期間入札の方法で行われることが大半になります。入札者の中から一番高い金額を指定した人が落札でき、買受人となります。

7.買受人決定後、裁判所から代金納付期限通知書が買受人へ送付され、買受人は納付期限にまで代金を納付すれば競売物件の所有権を取得することが出来ます。

任意売却のタイミング

競売手続きでは裁判所による競売開始決定がされてから、買主に落札されるまで半年以上かかるのが一般的ですが1年近くかかる場合もあります。

では任意売却はどのタイミングですればいいのでしょうか?
競売の手続きが進んで不動産が差し押さえられても、債務者は差押を取り下げてもらい、競売をストップすることが可能です。 任意売却は買受人が決定する前日までに全ての手続きを完了していれば問題ありません。
任意売却にかかる期間は通常の売却と比較的近い3ヶ月から半年程度とされています。

まとめ

今回は競売と任意売却について特徴や流れをお伝えいたしました。 ローンの返済が厳しくなり滞納が続くと、まずブラックの状態になり、そのまま何もせずにいると競売によって不動産を強制的に売却することになります。
最悪、自己破産になるケースも珍しくありません。
そこで任意売却で不動産を売却するのが一つの選択肢としてあげられます。
ただし任意売却で売却しても残債が残っている場合、「残ったローンは帳消しにはならない。」こと必ず理解しておくことが必要です。

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