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所有者不明土地が増加する背景と予防について解説

人口減少や高齢化社会などの影響により、空き家や所有者不明土地が増加傾向にあります。
所有者不明土地は管理不全となり、周辺環境の悪化やトラブルの原因になることも珍しくありません。

そこで今回は、所有者不明土地の仕組みや所有者不明土地が増加する背景、所有者不明土地の予防策について解説します。

所有者不明土地とは

不動産登記簿によって所有者がわからなくなってしまった土地や所有者と連絡が取れなくなっている土地、​​所有者が判明しても、その所在が不明で連絡がつかない土地などを指します。
2020年(令和2年)国土交通省の調査によると、全国の土地のうち、所有者不明土地の割合は24%となっています。

(参考:法務省民事局「民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要」

土地の所有者が不明になれば、売買や賃借をすることができません。
土地の一部が所在不明であった場合でも残りの共有者で交渉することも困難です。

そのため、所有者不明土地が増加すれば、土地の有効利用ができず、周辺環境の悪化やトラブルの原因になることもあります。
また、公共事業の推進等においても事業の実施ができなくなるおそれもあるのです。

所有者不明土地が増加する背景について

相続登記の放置

所有者不明土地が増加する原因の一つとして、相続登記の放置があります。
現在は、相続登記の申請は義務ではなく、申請しなくても罰則などがありません。

土地の相続は、遺言書や遺産分割協議でだれが取得するのかを決めますが、相続登記(名義変更)がされないまま放置されているケースが多くなっているのです。
数代に渡り土地の相続が発生した場合は、付き合い自体が疎遠になり、権利者が土地を相続する権利を持っていることすら知らないケースも発生します。

相続した土地を利用する見込みがない

土地を相続したものの自宅から遠く離れており、利用する見込みがなく、そのまま放置するケースです。
相続放棄では、一部の相続財産を放棄することはできません。

例えば、預貯金だけを相続し、土地のみを相続放棄することはできなくなっています。
また、土地は所有しているだけでも管理コストや固定資産税が発生するため、利用する見込みがない場合は、放置されることがあるのです。

所有者不明土地の予防策

相続登記の義務化

相続登記は現在のところ任意ですが、2024年(令和6年)4月1日から不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請を義務付けます。
不動産取得を知った日から3年以内に正当な理由がなく登記・名義変更手続きをしなかった場合、10万円以下の過料に処せられます。

相続登記の義務化は、法改正以前から相続登記をしていない不動産についても適用があるため注意が必要です。
一方、登記簿上の所有者が住所等を変更した場合は、変更日から2年以内に変更登記の申請が必要です。

また、​​住所を変更した場合も不動産登記が義務化されます。2年以内に正当な理由がなく手続きをしなければ5万円以下の過料に処せられます。

相続人申告登記の新設

相続人が登記名義人の法定相続人である旨を申し出ることによって、相続登記の申請が可能となる「相続人申告登記」の新設が2024年(令和6年)4月1日に施行されます。
現在は、すべての相続人に関する資料を準備する必要がありますが、相続人申告登記では、相続人全員分をまとめて申し出ることもできます。

相続人申告登記では、登記官がその者の氏名及び住所等を職権で登記することになります。

土地・建物の財産管理制度

近隣に所有者不明や管理不全の土地・建物がある場合、利害関係人が裁判所に申し立て、土地・建物の管理人を選任してもらう制度です。
不動産の共有者が不明の場合であっても、他の共有者が地方裁判所に申し立てすることも可能です。

管理人が決まると、周辺環境や治安悪化を防ぎ、土地利用の円滑化につながるでしょう。

相続土地国庫帰属法

相続または遺言によって土地の所有権を取得した方が、法務大臣の承認を受け、一定の負担金を納付することを条件として、土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度です。
所有者の申請に基づき、法務大臣の審査を経て、要件を満たす場合に土地を国庫に帰属させることができるのです。

共有物の管理の範囲拡大

形状や効用の著しい変更を伴わないものについては、持分の価格の過半数で決することができます。

また、共有者の中に行方不明者がいる場合において、裁判所の手続を経ることで、a.行方不明の共有者等以外で変更行為を実施できる、行方不明の共有者等の共有持分を強制的に取得する制度が新設されます。

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