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逮捕者も?!急増する「火災保険スキーム」について解説

関連ワード トラブル 火災保険

弁護士の資格を持たないものが報酬を得る目的で、火災保険金の請求を行ったとして、リフォーム会社社長、不動産会社社長ら3人が逮捕された事件が発生しました。
報道によると、容疑者の1人である不動産会社社長は、自社の顧客である不動産オーナーらに対し、保険金請求手続きの代行を持ちかけていたということです。

(参考:楽待新聞「火災保険スキーム」にメスか、不動産会社社長ら3人が逮捕」

「火災保険スキーム」とは?

そもそも火災保険とは、火災や落雷、破裂・爆発、などの被害に遭った際に損害を補償する保険です。
保険内容によっては、風災、雹災、雪災、水災などの被害も補償される場合があります。

火災保険スキームは、その保険契約者である不動産オーナーに対し、「火災保険が適用される」などと、火災保険の請求を持ちかけ、支払われた保険金から成功報酬として、30%〜40%の報酬を業者が持っていくシステムです。

保険代理店もこれに加担しているところがあると言われています。

火災保険に詳しい専門家によると、台風や地震などの被害は、屋根の上に広がっていたとしても物件の所有者は気づきにくいという。
そこで「無料の調査を行う」などと、個別訪問を行ったり、ポスティングやダイレクトメールなどで物件の所有者に近づくことから始まり、

屋根の上の破損などを見つけ、火災保険を請求できるので無料で直せますと持ちかけるようです。
しかし、実際はいつ破損があったのか、本当に台風や地震の影響であるのか証拠がないということです。

数年前から悪質な勧誘が急増

全国の消費生活センターでは「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」など、保険金を使えると勧誘する苦情が多数寄せられています。
2019年度は、2,684件と2010年度111件約24倍に急増しています。このような悪質な勧誘は、関東地方や近畿地方で増加傾向にあります。

相談事例では、台風の影響で雨漏りをしていたところ、業者から「火災保険の保険金で修繕ができる」と電話があり、その後、訪問しました。
事業者が屋根の損傷箇所を撮影し、約400万円の工事見積もりを出したところ「自分たちの存在は保険会社に伝えないでほしい」と伝えたという。

その後、保険会社の鑑定人が家を診て、見積金額全額は出ないと言いました。
書類には工事をしない場合は違約金として保険金の5割を支払うと書いてあったということで、悪徳商法と思ったということです。
このような手口は、最初から工事をするつもりのない業者であると予測できます。

(参考:独立行政法人・国民生活センター「「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」

その他、工務店が高齢者を狙い保険金が支払われることを伝え工事を持ちかけ​​、保険の対象外である工事を行い、高額な工事を請求する手口などもあります。

不動産投資家が狙われる理由

不動産投資家は、複数の物件を持っていることが多く、1人に対し多数の調査を行うことができ、保険金の請求や修繕工事を請け負うことができます。
そのため、効率良く報酬を受け取ることを目的に狙われていると考えられます。

保険業界は、修繕した後の確認をしてこなかったので、直さなくても保険金を受け取っているという事実もあるようです。
その結果、業者に報酬を支払っていても、まだ支払われた保険金が残るという状況になるので、不動産投資家が狙われる傾向にあると考えられます。

また、保険会社を変えて二重三重に請求するケースもあるようです。

火災保険スキームの違法性について

今回の事件は、弁護士法72条が関係していると言われています。弁護士法72条は、いわゆる「非弁行為」というもので、条文は以下の通りです。

「​​弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」

過去の判例では、交通事故に関する自賠責保険の請求に関しても弁護士法72条の法律行為にあたるという判断があります。
したがって、今回の保険金請求行為についても弁護士法72条の法律行為と解釈される可能性があります。

まとめ

今回は、火災保険スキームの事件を踏まえて、どのような手口であるのかを解説しました。
このような行為は、数年前から急増しており、弁護士法72条違反になると言われています。

今回の逮捕で火災保険スキームの減少が期待されますが、不動産投資家にとっては、根拠のない修繕を求める業者には十分注意しましょう。

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