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コロナ禍における不動産業界への影響について

新型コロナウイルスの感染拡大で各地で緊急事態宣言が発令されています。三密を避け、消毒を徹底した「新しい生活様式」が当たり前になる反面、日本経済の停滞が懸念されています。この影響は不動産業界にも広がりつつあります。コロナ禍で不動産の売買や賃貸はどのように変わっているのでしょうか?今回は、不動産業界の現状やコロナ禍で起きているトラブルなどについて解説します。

1.コロナ禍における不動産業界への影響

新型コロナウイルスの感染拡大は、不動産業界に大きな影響が広がっています。

2021年4月の東京商工リサーチ(TSR)が実施した「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」によると、コロナの影響を受けた不動産業は、73.6%(220社中、162社)に​達することがわかっています。

このうち「影響が出たがすでに収束」は9.5%(21社)にとどまっています。

(参考:東京商工リサーチ(TSR)「コロナ禍における不動産業のアンケート」調査)

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210430_03.html

1-2.不動産会社の経営状況について

コロナ禍で不動産会社の現状として、来店数・内見数の減少、入居キャンセルの発生、売上の減少、民泊事業の激減などがあげられます。

​​株式会社LIFULLが運営する不動産情報サービス 「LIFULL HOME'S」の意識調査では、不動産業者の9割が「企業活動に影響が出ている」と回答しています。

(参考:LIFULL HOME'S調査「第2回 新型コロナウイルス感染症に対する不動産事業者の意識調査」)

https://lifull.com/news/17247/

新型コロナウイルスが不動産会社に与えている影響は、具体的には以下の通りです。

・来店数・内見数の減少

店舗で対面となると、コロナ感染の不安を感じる人が多く、非対面での​​オンライン接客による需要が高まっています。

・内見数の減少

内見についてもコロナ感染のリスクを考え、控える人が多くなっています。

しかし「オンライン内見」を行う不動産会社は増加傾向にあります。

「オンライン内見」とは、不動産会社の担当者が入居希望者の代わりに現地に向かい、映像や音声を使用して物件の詳細を紹介するシステムです。

・民泊事業廃止の増加

民泊事業は、2020年4月以降、住宅宿泊事業法に基づく届け出が減少傾向にあります。コロナの影響で事業廃止が増えているためです。

観光庁の調査では、事業廃止の理由として「収益が見込めないため」が最も多く、廃止理由の中で新型コロナウイルス関連が占めた割合は、全体の51.9%でした。

(参考:観光庁「住宅宿泊事業の廃止理由調査について」)

1-3.都心離れと投資物件への影響

総務省が発表した「住民基本台帳人口移動報告 2020年(令和2年)」によると、東京都で2020年7月、8月、11月は、転出者が転入者を上回る「転出超過」となっています。

しかし、2020年全体で見ると東京都は転入超過が続いており、都心離れが起きているとは言えません。

ただし、​​​​東京圏の​​転入超過は、前年に比べ4万9540人の縮小となっています。

(参考:総務省「住民基本台帳人口移動報告 2020年(令和2年)」)

https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/youyaku/index.html

2. 2021年の公示地価は6年ぶり下落

国土交通省が発表した令和3年(2021年)公示地価は、全国平均(全用途)が前年より0.5%下がり、6年ぶりに下落しました。

公示地価とは、地価公示法に基づいて毎年1月1日時点の全国の標準地を土地価格として公表することです。2人以上の不動産鑑定士が鑑定評価を求め、土地鑑定委員会が判定します。

公共事業用地の取得価格算定や国土利用計画法による土地の価格審査の基準などに活用されています。

2021年の公示地価・用途別では、商業地は前年の3.1%上昇から0.8%下落、住宅地は0.8%上昇から0.4%下落となっています。

商業地で下落幅がもっとも大きかったのは、大阪府の2.1%でした。

原因としては、新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要が激減したことが挙げられます。

一方、地方4市 (札幌・仙台・広島・   福岡)では、全用途平均・住宅地・商業地いずれも上昇を継続しています。

(参考:国土交通省「全国全用途平均で6年ぶりに下落、コロナ禍の影響は用途や地域で異なる~令和3年地価公示~」)

https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00005.html

コロナ禍で賃貸物件のトラブルが増えています。ここでは、具体的なトラブルについて解説します。

・騒音トラブル

各地で緊急事態宣言が発令され、テレワークなどで在宅ワークが急増しています。通勤時間がなくなり、自宅で仕事をできるといったメリットがありますが、その一方で騒音トラブルが増えています。

よくある騒音に関する苦情は以下の通りです。

  • 上階や隣人から子どもの足音が頻繁に聞こえてくる
  • 時間問わず、楽器の演奏が聞こえてくる
  • 夜に複数人で騒いでいる
  • 隣人が大声でライブ配信を行っている
  • 掃除機や洗濯機、窓や扉の開閉などの生活音

これらの騒音は以前からよくある内容ですが、在宅ワークで家にいる時間が増えていることから、通勤のときには気づかなかったケースが多いです。

一般的には、木造や軽量鉄骨造の物件で音が響きやすいことがあります。

テレワークの中で騒音トラブルが発生すると、仕事に集中できなくなります。

早めに管理会社へ連絡して改善してもらう必要があります。

・借主から家賃減額請求

「コロナの影響で収入が減ったから家賃を下げてほしい。」「周りは家賃を下げているのになぜ下げないんだ。」などと、借主から家賃の減額を請求されることがあります。

中には、高圧的な態度でしつこく家賃の減額を求める場合もあります。

家賃減額請求の根拠として、借地借家法32条1項の借賃増減請求権があります。

「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」

​​この規定では、その他の経済事情の変動が新型コロナウイルスの影響に該当するかどうかがポイントとなります。

しかし、必ずしも減額に応じなければならないわけではありません。法解釈によってオーナーの判断が変わる可能性もあります。

・家賃の滞納

家賃の減額以外にも、コロナ禍で家賃が払えなくなっている人が増えています。

まとめ

不動産業界の現状やコロナ禍で起きているトラブルなどについて解説しました。コロナ禍で不動産業界は、非対面、オンライン内見、IT重説など、新しい取り組みが始まっています。DXによってデジタル技術を積極的に導入すれば、アナログが根強い不動産会社でも効率良く業務が進むのではないでしょうか。

 

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