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5月から始まる「盛り土規制法」について解説

関連ワード 法律 規制

2023年5月26日に盛土に関する新たな法律が施行されます。
この新法は、2021年7月に静岡県熱海市で発生した盛土の崩落による被害拡大がきっかけとして、危険な盛土を全国的に規制する「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称:盛土規制法)」としています。

これからの法律が施行される経緯について解説します。

静岡県熱海市の土石流災害について

2021年7月に静岡県熱海市で大規模土石流が発生しました。
当時、各地で大雨警報や土砂災害警戒情報、洪水警報が出されており、逢初川の上流にあった盛土が豪雨により崩落。

死者・行方不明者28人、住宅被害98棟という大きな被害をもたらしました。

(出典:国土交通省「1)盛土による災害の防止 資料4-2」

この土石流事故では、盛土に適切な排水設備は設置されておらず、自治体への届け出を上回る量の産業廃棄物が混ざっていたとして行政指導を受けていたことも判明しています。

さらに盛り土は、規制の15mを超えて、50mにまで積み上げられていたことが分かっています。

静岡県は2022年9月、土石流の発生原因について「盛り土に地下水が流入したことが大きな要因になった」と報告するも、盛り土と崩落との因果関係については、外部の機関に検証を依頼しています。

2023年3月29日には、検証結果を報告。業者の届け出通りに条例の規制である15m以下で造成された場合「盛り土全体の崩落はなかった」という見解を示しています。

盛り土の高さを15mにしてシミュレーションを実施しており「盛り土への地下水の流入は少なく、急激に土が柔らかくなる現象は起きなかった」と結論付けているのです。

被災者側からは「崩落前になぜ15mで指導できなかったのか」と怒りの声が上がっています。

(出典:静岡放送(SBS)「届け出通り造成なら盛り土全体の崩落なかった」熱海土石流災害で静岡県が検証結果 「改めて悔しい」遺族ら怒りあらわ

そもそも盛り土とは?

盛り土は、斜面や低い土地などに土を盛って平らな土地にすることを指します。

盛り土をする前の地盤面の角度が20度以上、かつ盛り土の高さが5メートル以上の「腹付け型」と谷や丘陵を埋め立てる面積が3,000平方メートル以上の「谷埋め型」の2種類があります。
土砂を積み上げただけでは、崩落や土砂流出が発生しやすく、地盤改良工事などが必要です。

盛り土の総点検を実施

熱海市の土石流災害により、2021年8月、国は都道府県に対して盛り土の総点検を依頼しました。

全国で約36,000ヶ所が目視等により点検、2021年11月、政府の盛り土総点検暫定結果によると、約1,400カ所で法令や災害防止上の問題があり、うち約650カ所は必要な災害防止措置が確認できなかったと明らかにしています。

(出典:静岡新聞「盛り土1400カ所に問題 静岡県内は230カ所 政府全国総点検」」

宅地造成及び特定盛土等規制法について

これらの危険な盛り土の規制が不十分とされ「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」が制定されるに至りました。

改正の概要は以下のとおりです。

1.スキマのない規制

都道府県知事等が宅地・農地・森林等の土地の用途にかかわらず、盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を規制区域として指定します。
規制区域内で行われる盛土等を都道府県知事等の許可の対象になります。

2.盛土等の安全性の確保

盛土等を行うエリアの地形・地質等に応じて、災害防止のために必要な許可基準を設定します。
許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、

施工状況の定期報告、施工中の中間検査及び工事完了時の完了検査を実施します。

3.責任の所在の明確化

盛土等が行われた土地について、土地所有者等が安全な状態に維持する責務を有することを明確化
災害防止のため必要なときは、土地所有者等だけでなく、原因行為者に対しても是正措置等を命令できるなどが盛り込まれました。

4.実効性のある罰則の措置

罰則が抑止力として十分機能するよう、無許可行為や命令違反等に対する罰則について、条例による罰則の上限より高い水準に強化します。
最大で懲役3年以下・罰金1,000万円以下・法人重科3億円以下などの罰則があります。

(出典:国土交通省「宅地造成等規制法の一部を改正する法律」(盛土規制法)」

これまでの盛り土規制は、用途に応じてのルールがありましたが規制外の土地が数多く存在していたことから、全国一律の基準で規制が定められました。

無許可の工事や是正措置命令違反があった場合には、個人や法人に罰則も定められています。

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