親からマンションを相続したときに「どのような手続きをしていいのかわからない」「マンションにかかる税金の種類を知りたい」など、いろいろと気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、マンションの相続手続きの流れと税金について解説します。
まずは、遺言書の有無を確認します。遺言でマンションを相続する方が記載されていれば、その記載された方が相続します。
まずは相続人はどなたなのか、何人いるかを調べるため、相続人調査を行います。
相続が発生すると原則、相続人調査を行わなければなりません。
相続人調査を行う理由として、遺産分割協議の成立や戸籍一式の提出、後から相続人が出てくる可能性などです。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。一人でも欠けると成立しないため注意しましょう。
相続人調査では戸籍を集めなければなりません。戸籍には「現在戸籍」「除籍」「原戸籍」の3種類があります。
除籍とは、戸籍に記載されている人全員が死亡したり、結婚、本籍地の移転などによって、その戸籍に誰も掲載されていない、閉鎖された戸籍を指します。
原戸籍は法改正など、新しい戸籍に変わるまで使用していた古い戸籍のことです。
また、相続では、戸籍内にすべての内容が記載された戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が必要になります。
相続人を確定するには、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を集めていきます。
戸籍の取得を申請できるのは、配偶者または直系の血族です。直系の血族とは、祖父母や父母、子、孫のことです。
戸籍の収集は自分でも可能ですが、司法書士などの専門家が代理人として請求することも可能です。
被相続人の不動産や現金、預貯金、有価証券、小切手、自動車、貴金属、土地、家屋、ゴルフ会員権など、経済的価値のあるものです。
借金や保証金、預り金、買掛金、前受金などのマイナスの財産も含まれます。
ただし、相続人はすべての財産を相続する(単純承認)、相続によって得た財産の範囲内で債務を引き継ぐ(限定承認)、すべての財産を放棄する(相続放棄)を選択することが可能です。
不動産や株式などは、適正に調査してもらわなければなりません。
このように相続人調査と相続財産調査を適切に行うと、遺産分割協議がスムーズに進めることができます。
相続人が複数いる場合に遺産の分割方法について話し合います。
特にマンションの相続では、現金のように相続人一人あたり○○円というわけにはいきません。
誰が相続するか、売却した場合の分配方法などで揉めることもめずらしくありません。
分割方法には「現物分割」「代償分割」「換価分割」
現物分割は、特定の相続人が特定の財産を相続する方法です。
たとえば、マンションは配偶者、自動車は子供などの分割方法を指します。
代償分割は、相続人の一人が法定相続分を超える財産を取得し、他の相続人に相続分に見合った金銭を支払う方法です。
たとえば、相続人の一人がマンションを取得し、他の相続人には相続分を金銭で支払うようなケースです。
換価分割は、相続財産を売却し、金銭で相続人に分配する方法です。
たとえば、2,000万円の土地を兄弟で相続する際に長男が2,000万円で相続する代わりに次男に1,000万円を支払うというケースです。
遺産分割協議にもとづき、マンションを相続した方は、被相続人から相続人に名義変更(所有権移転登記)を行います。
現在、相続登記(所有権移転登記)の義務化はされていませんが、2024年4月1日から実施されます。
相続登記は、書類の提出と登記に伴う専門的な知識が必要です。
相続財産の合計金額が基礎控除額を上回っていた場合は、相続税を納付しなければなりません。
基礎控除の算出方法は、以下のとおりです。
基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
相続したマンションが被相続人の宅地(マンションの敷地利用権)として利用されていた場合は「小規模宅地等の特例」を利用できます。
最大80%の相続税を減額できます。
相続開始を知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の管轄する税務署に申告して納付します。
所有権移転登記する際にかかる「登録免許税」は、以下のとおりです。
登録免許税=不動産の価格x税率0.4%
登録免許税は原則、現金で支払います。3万円以下の場合は、収入印紙で納付することができます。