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茅ケ崎刺殺事件から見る建物明渡訴訟について解説

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外資系IT会社社員の男性が自宅で頭や胸などを刃物で突き刺して殺害された事件

事件の概要

2022年12月20日の午後1時過ぎ、神奈川県茅ヶ崎市に住む外資系IT会社社員の男性が自宅で頭や胸などを刃物で突き刺して殺害された事件で、大阪府出身の住所不定、職業不詳の男が殺人容疑で逮捕されました。

容疑者は大阪ナンバーのレンタカーに乗り、現場周辺まで移動し、犯行後もこのレンタカーで逃走していたとされています。
その後、2020年12月22日の夕刻、容疑者が千葉県茂原署に出頭しました。

容疑者は、不動産賃貸を副業にしていた外資系IT会社社員の男性が所有する大阪市内のマンションに入居し、月額4万円の家賃を一度も払わず230万円以上を滞納していました。
裁判記録によると、2017年から家賃を滞納し、2022年1月に提訴、殺害された男性は退去を9月まで猶予することを含む和解案を提示していたということです。

明渡訴訟で敗訴後も居座っていたところ、2022年10月に大阪簡裁が退去を命じる判決が下されました。

(参考:集英社オンライン「〈茅ヶ崎刺殺事件〉「家賃4万円の部屋で230万円以上を滞納」「以前より住居を不法占有」…外資系IT社員を殺害した50歳無職男の裁判官も呆れ果てた不動産トラブル「別の部屋の住人が私を泥棒にしようとした!」

(参考:TBS NEWS DIG「【独自】殺人容疑で逮捕の男“レンタカー”で現場周辺まで移動、逃走か 神奈川・茅ケ崎市の男性刺殺事件」

家賃滞納による建物明渡訴訟とは?

貸主が家賃を滞納している借主に対し、強制退去させるために行う訴訟を指します。
家賃滞納以外にも入居者の迷惑行為やゴミ出しなどのマナー違反、異臭問題、ペットに関する契約違反など、長期間にわたり、改善されない場合に最終手段として検討する方法です。

建物明渡訴訟が認められるのは、物件の所有者と入居者との信頼関係が破壊された場合です。そのため、1度や2度の家賃滞納では、認められない可能性があります。

建物明渡訴訟の流れ

建物明渡訴訟はいきなり提起するのではなく、それぞれの手順を踏んでから行います。

口頭や書面の催告

まずは、入居者に対し、口頭や書面で家賃の支払いを求めます。支払いがない場合は、保証人や保証会社に請求する旨を合わせて伝えます

配達証明付き内容証明郵便で請求

内容証明郵便で未払い家賃の支払いの請求と支払いがない場合の賃貸借契約解除の意思表示を記載の上、督促状を送付します。
内容証明郵便とは、いつ、どのような文書が誰から誰に対して送付されたのかを日本郵便が証明するものです。

契約解除

内容証明郵便の内容により、請求期間内に家賃の支払いがない場合には、契約解除の効力が生じます。

建物明渡訴訟の提起

建物明渡訴訟の提起になりますが、建物の明け渡しに加え、家賃滞納分の支払いを請求するのが一般的です。
借主が差押え可能な財産を有している場合に財産を差押え・競売などを実施することにより、家賃の回収に充てることができるからです。

借主が裁判所に出廷した場合は、話し合いによって解決できるケースもあるでしょう。
これを「裁判上の和解」といいます。

裁判所の和解が成立すると、判決と同様の効果が生じる和解調書が作成されます。
一方、借主が答弁書を出さずに裁判を欠席した場合は、原告の主張する事実を認めたものとして、原告側の請求を認める判決になることがほとんどです。

ただし、判決に不服がある場合には、第一審判決には「控訴」、控訴審判決には「上告」が原告・被告に認められています。

建物明渡訴訟を命ずる判決後も賃借人が立ち退かないケース

建物の明け渡しを命ずる判決が下されると、賃借人は賃貸物件から退去しなければなりません。
しかし、賃借人が立ち退きを拒否する場合は、賃貸人は建物明渡執行の申し立てを行うことになります。

ただし、これらの建物明渡訴訟や建物明渡執行の申し立ては、専門的な知識が必要となり、書類や資料の作成なども労力を伴います。
そのため、法律の専門家である弁護士に依頼した方がスムーズに進みます。

建物明渡訴訟の注意点

賃貸人が賃借人の家賃滞納により建物明渡訴訟を提起すると、今回の事件のような逆恨みが生じるケースもあります。
このようなケースでは、早めに行政や警察の相談窓口を利用するのも一つの方法です。

また、2023年(令和5年)2月20日以降については、民事訴訟法等の一部を改正する法律で、当事者等がDVや犯罪の被害者等である場合に、その住所、氏名等の情報を相手方に秘匿したまま民事訴訟手続を進めることができます。
(参考:法務省「民事訴訟法等の一部を改正する法律について」

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