オフィスビル仲介大手・三鬼商事が発表した 東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の2022年7月時点の平均賃料は20,262円と、6月に比べ11円安くなり、下落は、2020年8月以降、24ヶ月連続となりました。
賃料の下落が2年続くのは、リーマンショックや東日本大震災の影響があった2008年9月〜2012年4月の44ヶ月連続以来です。
2020年以降は、新型コロナウィルスの感染拡大により、観光や飲食業などの大打撃を受けた結果、店舗の移転や撤退などが目立ちました。
また、オフィスビルもテレワーク・リモートワークなどの影響により都心から地方に拠点を置く企業も増えたことから、賃料下落の要因となっています。
総務省が発表した2021年住民基本台帳の人口移動報告によると、東京23区では、転出した人が転入を1万4,828人上回り、初めて「転出超過」となりました。
(参考:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2021年(令和3年)結果」)
東京23区の転出超過もテレワークなどが進むことで、東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の賃料下落の要因と考えられます。
一方、東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の2022年7月時点の平均空室率は6.37%となり、前月比0.02ポイント下げています。
新築ビルの2022年7月時点の空室率は38.72%、前月比1.06ポイント上げています。
(参考:三鬼商事「東京ビジネス地区/2022年07月時点」)
不動産サービス大手の専門家は「物価高と部材不足が企業の投資意欲を抑制し、オフィス移転を保留するケースが出てきている」と話しています。
都内各所の再開発により、オフィスビルが供給過多になっていると各メディアで報じられています。
例えば、東京駅前の45階建ての超高層ビルを中心とした三井不動産がデベロッパーを務める「東京ミッドタウン八重洲」です。
推定延べ床面積約13万㎡のオフィスフロアには、5月の時点でテナントが半分程度しか決まっていないと報じられていました。
2023年は、東京都のあらゆる場所に大型ビルの竣工ラッシュが予定されています。
このように東京都では、2023年竣工予定の高層ビルが多数あるため、供給過多を懸念することから2023年問題と言われています。
地域の需要や街の変化を把握し、テナントのニーズやターゲットを考慮したリノベーションを行うことも一つの方法です。
内装のデザインや設備の機能性を高めた空室対策を実施し、これまでとは違った付加価値を提供することが大切です。
築年数が古いオフィスビルでは、共用部が劣化している場合も多くあります。
共用部の床・壁、エレベーター、トイレなどのイメージを変えるだけでも大きく印象が変わります。
オフィスビルの空室を改善するには、業種転換するのも一つの方法です。
テレワークの普及により、レンタルスペースやシェアオフィス、コワーキングスペースなどの需要が高まっています。
これらは大規模なリフォームが不要で初期費用を抑えられます。
また、業種転換による「事業再構築補助金」の申請を行うことで採択される可能性もあります。
採択事例には、レンタルスペースやシェアオフィスの事例が多数あります。
(参考;事業再構築補助金 第5回公募 採択案件一覧【東北ブロック】)
オフィスビルの空室対策にSNSの利用やYouTubeでの動画配信を積極的に行うことです。
リノベーションの様子や設備の紹介など、SNS等でオフィスビルの魅力を伝えましょう。