2022年6月3日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は反落し、午前9時35分時点は前日比213ドル08セント安の3万3035ドル20セントで推移しています。
5月の米雇用統計で雇用者数の増加幅が市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めへの警戒が広がっています。
(参考:日本経済新聞「NYダウ反落、348ドル安 FRBの金融引き締めを警戒」)
中央銀行が物価の安定を図り、加熱する景気を抑制するために実施する金融政策を指します。
中央銀行が保有する資産の圧縮や預金準備率を引き上げることで、市場の通貨供給量を減らします。
米国の金融引き締めを受け、生命保険大手の日本生命保険と第一生命保険などが資産運用の見直しを行っています。
日本生命保険は、2023年4月から、団体年金商品の予定利率を現行の1.25%から0.5%に引き下げると発表しました。
団体年金商品の予定利率引き下げは2022年4月以来、21年ぶりとなります。
団体年金には、将来受け取れる金額が約束されている「確定給付型」と運用実績に応じて変動する「確定拠出型」があります。
今回、予定利率が引き下げられるのは「確定給付型」です。
同社では、予定利率引き下げにより、安定的な資産運用に取り組めると説明しています。
(参考:ロイター「日本生命、企業年金の予定利率を引き下げ 来年4月から実施」)
また、海外社債などへの投資を増やすとしています。
第一生命保険は、低金利下で国内の不動産投資に積極的です。
ESG関連の物件を優遇する基準を導入しています。
ESGとは、ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」を指します。
第一生命保険が不動産投資でESG関連の物件を優遇する基準を導入していますが、一般的な不動産投資との違いは、環境問題や社会への貢献度、健康性・快適性などを意識しながら投資対象を選定していく方法です。
国土交通省は、2018年に「ESG投資の普及促進に向けた勉強会」の最終とりまとめを発表しています。
その中で「ESG不動産投資の基盤整備」を取り上げているのです。
その内容は、不動産の環境負荷の低減や健康性・快適性に優れた不動産、ESG不動産による認証制度の検討などです。
環境問題や地域社会への貢献につながります。
例えば、CO2削減や天然素材の利用など、ESGは不動産投資によるメリットは大きいと予測できます。
環境に配慮したZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の導入や認定低炭素住宅、LCCMなど省エネ・省CO₂化に取り組むことにより、コスト削減や生活環境の改善につながります。
近年、少子高齢化や相続の問題などにより、空き家が急速に増加しています。
総務省「住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は、過去30年(1988年~2018年)で394万戸から849万戸となり、2倍以上の増加となっています。
(参考:総務省統計局「2018年(平成30年)住宅・土地統計調査」)
空き家が増加すると、ゴミなどの不法投棄や治安悪化につながり、周辺住民に悪影響を及ぼします。
しかし、空き家をリフォーム・リノベーションすることで社会問題やESGに配慮した不動産投資が実現するでしょう。
最近では、ESG不動産投資のファンドに少額から投資ができるクラウドファンディングサービスも登場しています。
例えば、保育園、学校等のESG不動産を対象とした不動産ファンドや国産木材を活用した方創生・地域活性化・環境問題などを目的したクラウドファンディング、首都圏を中心とした空き家再生による地域貢献型のクラウドファンディングなどがあります。