新型コロナウイルス感染拡大により、大都市圏から地方への人口の回帰が起きつつあります。
東京都は2021年、男性だけをみれば25年ぶりに流出する人が多くなりました。
総務省によると、東京都では2021年に転入者が転出者を上回る転入超過が5,433人と前年の6分の1近くに縮小しました。
この影響で男性は1,344人の転出超過に転じています。
しかし、女性は転入超過6,777人となっており、女性による地方回帰は慎重です。
女性の転入超過数が最も多かったのは、神奈川県の1万7,555人、続いて埼玉県の1万4,535人、千葉県の8,473人と続きます。
(参考:日本経済新聞「地方回帰 女性なお慎重 」)
グローバル都市不動産研究所によると、東京都は1997年以降、22年連続で転入超過となり、2009年以降は、女性が男性を大幅に上回るようになりました。
(参考:CANVAS「 なぜ女性は東京に惹かれるのか!?ー東京都への人口流入、女性が男性を大幅超過 」)
総務省が2022年5月26日に発表した4月の住民基本台帳人口移動報告によると、東京都への転入者が転出者を4374人上回りました。
転入超過は4カ月連続となっています。
2021年(令和3年)住民基本台帳人口移動報告によると、女性の転入は19万7,947人だったのに対し、転出は19万1,170人です。
(参考:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」2021年(令和3年)結果)
女性の転入を見ると、20代が52.8%で半数以上に上ったほか、30代が18.8%となっており、20代・30代で70%以上を占めています。
専門家によると、自らのキャリア形成のために大学進学を選ぶ女性が増えていると分析しています。
自分のスキルを活かす場所が多くあり、多様な働き方が可能な東京都に若い女性が集まる傾向が続いているのです。
ある20代女性は「やりたい仕事が地方で見つからず、自分が望むキャリアを積める場所は東京都にある。」と話しています。
このように女性のキャリア志向と4年制大学への進学率上昇が東京都への転入超過につながっていると見られています。
文部科学省が例年算出している方法を用いて、最新の学校基本調査に基づいて共同通信が試算した結果によると、2021年春の女子の大学進学率(4年制)は、都道府県別で東京が最高の74・1%となっています。
全国の進学率は女子51・3%と上昇傾向にあるのです。
東京都に住むと地方よりも鉄道の最寄り駅が近い場合や通勤時間の短縮、買い物のしやすさなど、利便性が高いことが挙げられます。
地方では、自家用車がなくては生活ができないほど必要です。
しかし、車の維持費や税金がかかります。
都心に住むと自動車も不要になることが少なくありません。
電車やバスなどの公共交通機関を利用するのみの移動が可能です。
一方、地方でも女性が働きやすい環境づくりに積極的な自治体があります。
宮崎県日南市では『創客創人』を掲げ、地方創生に力を入れています。
東京のITベンチャー企業などをはじめ、30社以上を誘致し、地元女性の受け皿となっています。
油津商店街周辺には、IT企業のサテライトオフィスが続々と集まっています。
また、商店街には保育園も新設されました。
商店街×IT企業で地域・経済の活性化につながっているのです。
また、経済産業省が選定する「はばたく商店街30選」にも選ばれ、地方創生のお手本として、生まれ変わった油津商店街に注目が集まっています。
兵庫県豊岡市の抱える課題として人口減・高齢化が挙げられています。
中でも「ジェンダーギャップ」が一つの要因とされているのです。
国勢調査の結果によると、豊岡市の人口は約7万8,000人です。
そこで豊岡市は、2021年に「ジェンダーギャップ解消戦略」を掲げました。
市役所には「ジェンダーギャップ対策室」が設けられ「2025年までに、地域連合会の役員の女性比率を3割にする」という目標を定めました。
ジェンダーギャップとは、男女の違いで発生する格差を指します。
SDGsにも目標5に「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられている重要な取り組みです。
豊岡市では、役職のつく女性を増やす会社や男性に育児休暇を設けるなどの事例があります。