双日とゴールドマン・サックス新会社設立の概要
米ゴールドマン・サックスと双日は、共同で立ち上げる新会社を設立すると発表しました。
新会社は、投資運用事業会社です。
資本金は17億円、ゴールドマンが75%、双日が25%出資し、日本国内で住宅投資を拡大すると報じられています。
古くなった賃貸マンションを購入し、建て替えるのではなく、改装して収益性を高めたうえで機関投資家に売却するというものです。
年間の投資額は2022年度に300億円、その後年間400億~500億円が見込まれています。
(参考:日本経済新聞「双日、ゴールドマン・サックスと賃貸住宅のバリューアップ事業を運用する新会社を共同で設立」)
(参考:双日株式会社「ニューリリース・双日、ゴールドマン・サックスと賃貸住宅のバリューアップ事業を運用する新会社を共同で設立」)
日商岩井とニチメンが前身です。
日本の総合商社で自動車、航空産業・交通プロジェクト、インフラ・ヘルスケア、金属・資源・リサイクル、化学、生活産業・アグリビジネス、リテール・コンシューマーサービスの7つの本部体制で、製品の製造・販売や輸出入、サービスなど、多角的に行っています。
(参考:双日株式会社「会社概要」)
2020年頃から新型コロナウイルスの感染拡大で、不動産市場にも大きな影響を及ぼしています。
テレワークなどの増加により、都心部にオフィスを構える企業が地方にオフィスを移転するケースもありました。
その結果、首都圏でオフィス空室率が上昇が見られました。
オフィスビル仲介大手の三鬼商事が発表した2022年2月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率によると、6.41%と、2021年10月以来4か月ぶりの上昇となりました。
(参考:三鬼商事「東京ビジネス地区/2022年02月時点」)
一方で現在、海外不動産投資家から東京の不動産が注目されています。
他国に比べても金利が低いことが一つの要因として挙げられます。
不動産サービス大手JLLによると、2021年の不動産取引額は約4兆5,000億円で海外投資家による購入額は2割強を占めています。
2022年3月頃から外国為替市場では、円安・ドル高が急速に進んでいます。
3月から5月にかけて16円ほど下落している状況となり、約20年ぶりの1ドル=131円台を記録しています。
円安とは、他の通貨に対する相対的価値が低い状態を差します。
例えば、円相場が1ドル=100円から1ドル=80円になれば「円高」となり、1ドル=110円であれば「円安」となります。
また、円高になれば輸入品が安くなり、円安になると輸入品が高くなるのです。
日本では輸入原材料や燃料、雑貨などさまざまな価格の高騰が深刻化しています。
さらに食品の相次ぐ値上げに消費者から悲鳴の声があがっています。
日本の貿易赤字も拡大傾向にあるため、さらなる貿易収支の悪化が懸念されているのです。
財務省が発表した2021年度の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5兆3749億円の赤字です。
(参考:財務省「財務省貿易統計」)
ここまで円安が進んでいる理由としては、アメリカと日本の金融政策の違いが影響しているものと見られます。
アメリカは、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を0.5%ポイント引き上げを発表しており、22年ぶりの大幅な利上げです。
これに対し、日本は日銀による大規模な金融緩和を維持しています。この金利差により、円を売ってドルを買う動きが活発化しています。
円安による不動産市場の影響も大きいと予想されています。
ロシアのウクライナ侵攻などにより、輸入木材や原材料、住宅関連設備などの値上がりが続いています。
原材料価格の高騰は住宅価格にも大きな影響を及ぼすでしょう。
また、建設費やリフォーム費用も値上がりすることが予想されます。
一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響から依然として半導体不足が続き、給湯器やエアコン、温水洗浄便座が供給に遅れが生じています。