物件オーナーが損害賠償する事例も…土地工作物責任の対応について解説

2022.06.09

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地震や台風、豪雨などの自然災害で建物が倒壊したり、経年劣化により建物の一部が落下し、通行人にケガを負わせた場合などに損害賠償責任を負うといった「土地工作物責任」があります。
今回は、土地工作物責任の仕組みや土地工作物責任に関連する事例、物件を所有するオーナーの責任などについて解説します。

自然災害や経年劣化による建物の崩落・倒壊

近年、台風やゲリラ豪雨、地震などの自然災害や築古物件の経年劣化により、屋根の一部が飛ばされたり、地震で建物の一部が破損するケースが少なくありません。
マンションやアパートでは、築古物件の維持・管理が行き届いていない、いわゆる管理不全に陥る危険性があるケースも見られます。

そのまま放置すると、場合によっては建物の崩落・倒壊の被害が発生する可能性があり、周辺住民からケガ人が出ることもあるのです。
建物の崩落・倒壊などにより、通行人などがケガをした場合、工作物の占有者または所有者は「土地工作物責任」を負わなければなりません。

建物が倒壊・崩落した事例

近時、自然災害や建物の経年劣化により、物件や物件周辺に被害が生じる事案が増加しています。

千葉県のゴルフ練習場鉄柱倒壊

2019年9月には、千葉県のゴルフ場練習場の鉄柱13本が暴風で倒壊し、住宅21軒が被災した事例です。
この日、千葉市では観測史上1位の瞬間最大風速57.5mを記録していました。

大阪市西成区の住宅崩落事故

2021年6月には、大阪府大阪市西成区天下茶屋東2の高台で、棟続き住宅2棟4軒が崩落する事故が発生しました。
崩落した住宅は、ブロックや石などを単に積み上げた「空積み擁壁」と見られています。

北海道札幌市の雪による相次ぐ倒壊

2022年2月には、​​北海道札幌市で3階建ての空きビルが雪の重みで倒壊する被害が生じました。
また、札幌市では、ホームセンターの屋根が​​​​雪の重みで倒壊する被害が少なくとも3件発生しています。

さらに、雪の重みで空きアパートの屋根の一部が崩落する被害も発生しています。

雪の多い地域では、一般の地域よりも強度が高められているケースがほとんどです。
ただし、専門家によると、築古物件や無許可で増築された物件などは、雪による倒壊事故が発生する可能性が高いとの見解があります。

土地工作物責任とは?

民法717条に規定され、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、第一次的に責任を負います。
また、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をした場合は、所有者が第二次的に責任を負います。

所有者は、建物を建てた者や所有している者、建物を購入した者も含まれます。
所有者の責任は、無過失責任となっています。つまり、所有者に「過失」がなくても賠償責任を負うのです。

とはいえ、他に責任を負う者がいる場合は、占有者または所有者は、その者に対して求償権を行使することができます。

土地の工作物について

土地の工作物とは、土地に定着する人工物を指します。例えば、建物や広告塔、エレベーターなどです。
​​天然の池や沼は、工作物ではありません。

一方、判例で認められているのは、道路や橋、堤防、コンクリートの擁壁、電柱、プール、保育園の屋根上に設置された駐車場などです。

物件を所有するオーナーの責任

民法に規定される土地工作物責任の​​​​要件として、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることが前提です。
ここでいう「瑕疵」は、通常有すべき安全性を欠いている状態を指します。瑕疵があることにより損害が生じた場合、オーナーが損害賠償責任を負うのです。

ただし、瑕疵の有無については裁判例がいくつかありますが、ケースバイケースとなっています。

例えば、阪神・淡路大震災により、賃貸マンションの一階部分が倒壊し、賃借人が死亡した事案では、通常有すべき安全性を有していなかったとして、マンションの設置につき瑕疵を認めた裁判例があります。

まとめ

このように、物件のオーナーはさまざまな事案で土地工作物責任を負うケースがあるため、築古物件などの維持・管理に注意が必要です。
また、施設賠償責任保険に加入している場合は、被害者への損害賠償金が補償の対象となるケースもあるため、保険の加入を検討しましょう。

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