(株)矢野経済研究所の「中古住宅買取再販市場に関する調査」によると、2018年の市場規模は、成約件数ベースで3万2,500戸(中古戸建と中古マンションの合計戸数)と推計しています。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大により、前年比で減少しましたが、2019年まで拡大傾向になります。
一方、2021年の中古住宅買取再販成約件数は、前年比8.3%増の39,000戸と予測されています。
2025年の中古住宅買取再販市場規模は、成約件数ベースで50,000戸となり、2018年の約4割増に拡大すると予測しています。
中古住宅買取再販市場の需要増で、買取再販専業事業者や中小不動産事業者、デベロッパー、ハウスメーカー、ビルダーなどの大手新築系事業者から、工務店・リフォーム会社などの中小建築会社まで参入しており、市場が活発化しています。
(参考:(株)矢野経済研究所「中古住宅買取再販市場に関する調査」)
不動産を売るといえば「住宅ローンが払えなくなり家を売却したい」「空き家を相続したが、住む予定がなく売却したい」「新しい家に住み替えたい」など、不動産を売却するには、不動産会社に仲介を依頼するイメージがあると思います。
しかし、個人や不動産会社から中古物件を買い取り、リフォームやリノベーションをして再度販売する業務形態があります。
このような方法が「買取再販業」です。
中古物件を買い取った後は、間取り変更や設備の交換、クロス・フローリングの張り替え、耐震補強工事、住宅の省エネ化など、付加価値をつけて買取価格以上で販売して利益を出す仕組みです。
買取再販業の営業方法は、電話や飛び込みなどさまざまです。
近年、新築分譲マンション価格が高騰しており、新築マンションと比較すると中古住宅は割安と捉えられているためです。
不動産経済研究所の調査によると、2021年10月に首都圏で発売された新築マンション平均価格は6,750万円となり、1990年のバブル期を超えて過去最高を記録しています。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リモートワークの増加やパワーカップルが新築マンションを積極的に購入しているのが主な理由です。
つまり、新築マンションの高騰で買えないため、リフォーム・リノベーションを施した中古住宅に需要が高まっているということです。
個人や不動産会社から直接買い取るため、仲介手数料はかかりません。
買取再販業者は、仕入れ値と販売額の差額で利益を出します。
不動産の売却を仲介業者に依頼すると、すぐに買い手がつくとは限りません。
広告掲載や販売活動を行うため、売れるまでには時間がかかります。
そのため、住宅ローンの残債がある場合は、買い手が見つかるまで返済は続きます。
しかし、買取再販業者の場合は、買い手を探す手間が省けるため、すぐに現金化できることがメリットと言えるでしょう。
不動産会社が直接買い取るため、広告掲載などの販売活動を行いません。
したがって、周囲に家を売却することを知られることはありません。
買い手が個人であれば、契約不適合責任を負わなければなりません。
契約不適合責任とは、物件を引き渡した後に、雨漏りやシロアリ被害など、欠陥や不具合があった場合に損害賠償などを負う責任です。
しかし、買い手が不動産会社であれば、契約不適合責任を負う必要はありません。
買取再販業者に依頼すると、売却代金が相場より低くなってしまいます。
買取再販業者は、リフォームやリノベーションを施した上で再販するため、コストが大きくなるほど、買取価格を低く抑えなければならないためです。
今回は、買取再販業の仕組みや買取再販業の市場拡大について解説しました。
新築マンションの高騰が続き、中古住宅が注目されています。
不動産を売却する際は、買取再販業者に依頼すると、すぐに現金化が可能です。
しかし、買取価格が相場よりも低い場合もあるため、それぞれの状況に応じて検討してみてはいかがでしょうか。