2021年は新型コロナウイルス感染拡大により、都心部オフィスからの移転や縮小、撤退する企業が増えています。
貸事務所・賃貸オフィス仲介の三鬼商事によると、2021年10月までの空室率は、20か月連続で上昇しました。
また、テレワークが進む中、都心部のオフィス賃料も下落し、10月時点の1坪当たりの賃料は20,804円、11月時点の1坪当たりの賃料は20,686円と、16ヶ月連続の下落となっています。
（参考：三鬼商事「オフィスマーケットデータ・東京ビジネス地区／2021年11月時点」）
空室率が20か月連続で上昇していた都市部のオフィスに少しずつ変化が見られています。
オフィスビル仲介大手の三鬼商事が発表した11月の東京都心5区（千代田、中央、港、新宿、渋谷）の空室率は6.35%となり、10月に比べ0.12ポイント下がりました。
2020年2月以来、21カ月ぶりの低下となっています。
新型コロナウイルス拡大後、初めて空室率が低下したことになります。
地区別では、新宿区が大手IT企業のオフィス増床により、6.13％と0.66％低下しました。
その他、港区や渋谷区も空室率が下がり、千代田区は横ばいとなっています。
特にIT系の企業に人気である渋谷区は、空室率が2カ月連続で低下し、11月は5.41%まで下がりました。
一方、東京都心のオフィス空室率が過去最低を記録したのが、2020年2月の1.49％です。
（参考：日本経済新聞「オフィス空室率、コロナ後初の低下 11月は6.35%」）
2020年2月以来、21カ月ぶりに空室率が低下したことにより、今後どのような影響ができるのでしょうか。
都心部のオフィス空室率低下が進むと賃料の値上げが予想されます。
そのため、段階賃料やフリーレントの付加価値の提供を行う必要もなく、テナント募集が可能となるでしょう。
契約開始当初は賃料を安く設定し、その後は徐々に賃料の値上げをしていくことを指します。
一般的には、1年目の賃料が半額で2年目からは通常の賃料にするといったケースです。
このときに中途解約すると、違約金などのペナルティが課せられる場合があります。
入居してから一定期間、テナントの家賃が無料になる制度です。
居住用のマンションなどによく見られるサービスですが、テナントにも提供されています。
テナントでは内装工事の期間もあり、すぐに営業ができないことがほとんどです。
そのため、収入がない状態で家賃を払い続けることになります。
しかし、フリーレントの物件であれば、一定期間は家賃が無料になるため、初期費用を抑えられることが最大のメリットです。
ビルディンググループの2021年10月の主要エリアにおけるオフィスビル市況調査の結果によると、東京主要5区（千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区）の平均空室率は、7.05％と17ヵ月連続で上昇しました。
また、1坪当たりの推定成約賃料は、2万2,404円と、3ヵ月連続の下落です。
東京主要5区の平均空室率では、千代田区が5.12％（前月比0.01ポイント上昇）、中央区が6.93％（0.4ポイント低下）、港区が8.64％（0.08ポイント上昇）、新宿区が8.38％（1.21ポイント上昇）、渋谷区が5.99％（0.36ポイント低下）となっています。
<参考：ビルディンググループ「市況データ・オフィス賃料相場情報」）
IT業界を中心に都心部のオフィス回帰の動きが少しずつ見られていますが、2021年12月〜2022年1月の年末年始にかけて、オミクロン株の感染が急拡大広しています。
これまでにない急激な感染者の増加が見られ、沖縄では、1月6日に過去最多となる981人の新型コロナ新規感染が発表されました。
この日、東京では641人、大阪505人、広島県273人、山口県が181人の新規感染が確認されています。
政府は、沖縄・広島・山口の3県に、まん延防止等重点措置を適用する方針を固めたと報じられています。
2022年が始まったばかりで急激に広がるオミクロン株の感染は、今後の都心部オフィス空室率が再び上昇するのではないかと、専門家から懸念する声が出ています。
都心部オフィス空室率の低下の動きが見られますが、再び新型コロナウイルスのオミクロン株が急激に広がっています。
感染者が増え続けると、これまで以上にテレワークが進むことも考えられ、再び空室率が上昇するのか懸念されています。
