2021年(令和3年)12月24日に政府・与党の「2022年度税制改正大綱」が公表されました。
その結果、控除率が引き下げとなりました。
今後の住宅ローンはどのような変更があるのでしょうか?上限額や適用要件なども合わせて解説します。
政府・与党が税制調査会が中心となり、翌年度の税制改正などを取りまとめたものです。
毎年12月に閣議決定されます。税制改正大綱は、財務省のホームページで閲覧が可能です。
政府は税制改正大綱をもとに税制改正法案をつくり、翌年1月召集の通常国会に提出します。
法案が成立すると、4月から新しい税制が施行されます。
住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、年末時点での住宅ローン残高1%で入居時から10年間にわたり、所得税額から差し引くことができる制度です。
正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。
2019年の税制改正により、消費税10%への引き上げに伴い、住宅ローン控除が10年から13年の3年間に延長されました。
2019年(令和元年)10月1日〜2020年(令和2年)12月31日の間に入居した場合に適用されます。
一方、注文住宅であれば2020年(令和2年)10月〜2021年(令和3年)9月末までに、分譲であれば2020年(令和2年)12月〜2021年(令和3年)11月末までに契約をする必要があります。
2022年から住宅ローンの減税が変更されます。
現在、住宅ローンの金利は非常に低く
税制改正の内容は、以下の通りです。
住宅ローン減税が変更される背景には、支払う利息よりも多くの控除を受けられる「逆ざや」が原因と考えられています。
一方、住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2021年4月)」によると、前回調査と比べ「変動金利型」が増加し「固定期間選択型」と「全期間固定型」は減少しています。
(参考:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2021年4月)」)
実際は、リスクの大きい「変動金利型」を利用する人が多いことがわかります。
コロナ禍で収入の激減やボーナスの大幅なカットにより、住宅ローンを滞納する人が増えています。
住宅ローンの滞納が一定期間続くと、いずれ競売にかけられてしまいます。
また、住宅ローンの支払いが遅れると、優遇金利が適用されなくなる、遅延損害金を請求される、信用情報機関へ事故情報として掲載されるなどのデメリットもあります。
したがって、競売を回避する対策を早めに準備しておかなければなりません。
コロナ禍では、やむを得ずマイホームを手放す「任意売却」が増加しています。
任意売却とは、住宅ローンの滞納が続いた場合に金融機関の合意により、住宅ローンが残ったまま担保としていた不動産を売却することです。
コロナ禍で任意売却の件数が増加しています。
通常は、住宅ローンを完済しなければ、抵当権を抹消することができません。
しかし、住宅ローンを完済していなくても金融機関との合意で抵当権を外すことができるのです。
ローンの残高よりも担保としていた不動産の売却額が高ければ、住宅ローンの完済が可能になります。
競売では市場価格の6〜7割程度となるのに対し、任意売却は市場価格に近い金額で売却できる可能性が高いです。
一般の不動産取引で売買するため、周囲に知られることはありません。
競売では、現況調査で裁判所の執行官や不動産鑑定士が自宅を訪問するため、競売の事実を知られる可能性があります。
今回は、住宅ローン減税の変更や住宅ローン滞納の増加について解説しました。
住宅ローン減税の規模が縮小されますが、住宅を購入する際はもう一度確認しておきましょう。