不動産で収益確保!?コロナ禍で加速する百貨店のビジネスモデル転換について

2022.02.03

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新型コロナウイルスの新規感染者数が落ち着いた状況が続いていますが、これまで続いた緊急事態宣言による時短営業が響き、百貨店業界が苦境に立たされています。
全国の百貨店売上は、1991年の9.7兆円をピークに減少傾向となっています。

その一方で、百貨店によるビジネスモデルの転換が加速しています。そこで今回は、百貨店の市場動向や相次ぐ百貨店の閉店、新たな構造転換について解説します。

百貨店の市場動向について

百貨店業界は、昨今の新型コロナウイルス感染拡大で休業要請や時短要請、インバウンド需要の消失などで依然として厳しい状況が続いています。

しかし、日本百貨店協会が発表した令和3年10月全国百貨店売上高概況によると、前年同月比2.9%増の約3,848万円となり、3か月ぶりのプラスに転じました。
その理由として、緊急事態宣言等が解除され、外出機会の増加や各種催事、秋冬の衣料品好調などが挙げられます。

一方、10月の東京地区百貨店(12社24店)の売上高は、​​前年同月比4.9%増の約1048億円で、2カ月連続のプラスとなりました。
しかし、入店客数は25.7%とコロナ禍前の水準に戻っていません。

(参考:日本百貨店協会「百貨店売上高」

また、大手デパート3社が8月までの半年間の決算を公表しました。本業のもうけを示す営業損益は以下の通りです。

  • ​​高島屋:68億円の赤字
  • 大丸松坂屋百貨店:4億円の赤字
  • そごう・西武:49億円の赤字

新型コロナウイルスの影響で、大手デパート3社とも赤字となっています。
各地の百貨店で変異株によるクラスターもあり、営業の規模縮小が大きな打撃となりました。

相次ぐ老舗百貨店の閉店

2021年に入り、三越恵比寿店、そごう川口店、三田阪急、松坂屋豊田店など、百貨店の閉店ラッシュが続いています。

2020年は、山形県の老舗百貨店・大沼、北九州市・井筒屋黒崎店、福島・中合福島店、そごう徳島店、西武大津店、西武岡崎店など、地方や郊外の百貨店が相次いで閉店しました。
近年の百貨店による閉店ラッシュは、新型コロナウイルス感染拡大だけでなく、ライフスタイルの変化、インターネット通販やファストファッションの浸透により、消費者の百貨店離れが一つの要因とされています。

こうした中、百貨店は業態転換の模索が続き、ストックビジネスに参入する事例も見られます。

百貨店の事業モデル転換について

過去には、J.フロントリテイリングが全フロアを定期賃貸借契約で運営し、脱・百貨店モデルとして、銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業「GINZA SIX(ギンザシックス)」を2017年4月20日に開業した事例があります。
また、同社の2019年にリニューアルオープンした「大丸心斎橋店本館」(大阪府大阪市)は、百貨店の売場は全体の35%で65%はテナントの売場となっています。

三越伊勢丹ホールディングスの収益構造見直し

三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、百貨店事業中心の収益構造を見直し、営業利益の約6割を占める同事業の比率を2031年3月期までに5割に下げ、不動産・金融で5割を稼ぐ構造にすると報じられています。

(参考:日本経済新聞「三越伊勢丹、百貨店傾斜脱却 不動産・金融で利益5割へ」)

松山三越の大規模リニューアル

松山三越では不動産ビジネス強化のモデルとして、大規模リニューアルを行い、1階には、タケシカンパニー(同市)が運営する四国最大級のフードコート、5〜6階に​エイジングケア施設、7〜8階は、茶玻瑠(同市)が運営する北欧ライフスタイルホテルとレストランなど、直営の売り場を2~4階に集約、テナントが店舗面積の半分を占めるようになりました。

三越伊勢丹グループで初となるホテルも入り、2021年3月期まで11期連続の赤字からV字回復を果たし、地域型百貨店の再生モデルを目指しています。

カード会員数を活かした金融商品の提案

外商の12万口座、自社カード会員の280万人、アプリなどのデジタルID会員などの強みを活かし、カード会員らを対象とした資産形成のアドバイスや金融商品の提案も積極的に進めて行く予定です。

そごう・西武 自社運営を4割以下へ

そごう・西武は、5年後をめどに全売り場に占める自社運営の比率を4割以下に減らし、旗艦店を含めてテナント賃料で稼ぐ収益基盤に再構築すると報じられています。

まとめ

百貨店の相次ぐ閉店により、ビジネスモデルの転換が求められています。
これまでの百貨店事業を縮小し、テナント賃料で稼ぐ構造に転換する企業が増えつつあります。
今後の生き残りをかけて、大胆な改革が必要となるでしょう。

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