大阪・西成の住宅崩落事故に学ぶ。危険な擁壁の見分け方とは?

2022.01.27

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2021年6月25日に大阪市西成区天下茶屋東2の高台で、棟続き住宅2棟4軒がのり面下に崩落しました。
最初に崩落したのは、土地の南から2番目に立つ、2戸がつながった連棟住宅でした。

午前7時40分ごろ、近隣住民から住宅の敷地と道路の境界付近から水が漏れているとの通報があり、高さ約9mの擁壁が崩れ始め、2戸の連棟住宅が西側の崖下に転落しました。
さらに約3時間後の午前10時34分に北隣に立っていた別の連棟住宅も擁壁もろとも崩れ落ちました。

うち1軒は、午前6時ごろ、80代と60代の親子が住んでいましたが、ミシミシという音を聞いて逃げ出し、無事だったということです。
この住宅崩落事故で​​死者や怪我人は出ませんでした。

(参考:日経クロステック「​​カメラが捉えた大阪・西成の住宅崩落、崩壊した擁壁の足元は未補強だった」※URLなし
(参考:NHKニュース「大阪 西成で住宅倒壊 けが人なし 倒壊の瞬間を住民が撮影」)※URLなし

住宅崩落の考えられる原因

今回の崩落した住宅は「空積み擁壁」と見られています。
空積み擁壁とは、コンクリートやモルタルを使用せずにブロックや石などを単に積み上げて作られたものです。

擁壁の裏側には「裏込め土」と呼ばれる土を盛り、支えている構造のはずですが、崩落の映像では、裏込め土が大量に流出されていたのです。
したがって、裏側が空洞化することにより支えを失い、崩落した可能性が高いと見られます。
裏込め土の流出は、雨水の侵入や地下水位の上昇などで起こる場合があります。

現場付近では老人ホームの建設工事が行われており、業者が崖のもろさを懸念し、事前に周辺の土地を買い取って自主的に補強を進めていたことがわかっています。
業者は「工事が崩落の直接的な原因ではない」と主張しています。

(参考:サンケイスポーツ「大阪・西成の民家崩落 建設業者、事前に安全補強」)※URLなし

危険な擁壁は見抜けるのか?

擁壁の基準については、宅地造成等規制法施行令で定められています。
「鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造又は間知石(けんちいし)練積み造その他の練積み造のものとすること。」(宅地造成等規制法施行令第6条)

練積みとは、ブロックの裏にコンクリートやモルタルを接合して積み上げる方法です。現在は、宅地の擁壁に広く採用されています。
一方、空積み擁壁以外にも古いタイプ「ブロック擁壁」と「二段擁壁」などは、特に危険とされています。

ブロック擁壁とは、圧縮強度ごとに、A、B、C、Ⅾの4種類があります。
中でにも​​コンクリートブロックは、強度や耐震性に不安定であり、崩壊の危険があります。

​​CP型枠ブロックは、コンクリートブロックとしては初めて、垂直施工の認可を国土交通大臣から受けた画期的な構造材料で、強い圧力を受けても耐えられます。
二段擁壁とは、既存の擁壁上にコンクリートブロックなどが設置されている擁壁で、宅地造成等規制法上は違法となります。

また、擁壁は高さが2mを超える場合は、建築確認申請が必要になります。
しかし、2m以下(宅地造成等規制法では1m以下)の擁壁は、建築確認申請の義務がないため、危険な工事が行われている場合もあります。

擁壁の事故に関する責任

擁壁が原因となる事故は、民法上の工作物責任に該当する可能性が高いです。
擁壁の設置・保存に瑕疵がある場合は、隣家に損害を賠償しなければなりません。

第一次的には、工作物の占有者が被害者に対して損害賠償責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたことを証明した場合は、第二次的に工作物の所有者が損害賠償責任を負います。(民法717条1項)

この責任は、無過失責任となっており注意が必要です。
しかし、天災による不可抗力の場合は、賠償する責任を負いません。

今回発生した大阪・西成区の住宅崩落事故では、大阪市が代わりに撤去作業を開始、斜面の下で工事を行った業者と土地の所有者などに費用を請求するものと見られています。

住宅崩落事故による火災保険適用について

火災保険は、さまざまな災害や事故による被害を生じた住宅や家財などをカバーすることができます。
集中豪雨による土砂崩れや洪水などは「水災」として補償お対象になります。

また、地震が原因とする土砂崩れや​​地滑り等は、地震保険による補償の対象です。
しかし、今回のような大阪・西成区で起きた住宅崩落による事故は、地盤や地質による原因となり、火災保険の補償対象外になる可能性が極めて高いです。

まとめ

大阪・西成の住宅崩落事故を取り上げ、危険な擁壁や責任の範囲などを解説しました。
擁壁は、建築基準法が制定される以前のものも多く、現在の法律に適合していない「不適格擁壁」も存在します。

建築確認が不要な擁壁2メートル以下の場合も注意しましょう。
土地価額が安いと何かの理由あるとも言えるでしょう。

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