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大阪・北新地放火事件の防火体制について解説

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12月17日に大阪市北新地のビル4階のクリニックで放火事件が発生しました。
この放火事件で25人が死亡しました。亡くなった人の多くは外傷がなく、死因は一酸化炭素中毒でした。

放火事件の概要

現場の防犯カメラから、このクリニックに通院していた患者による放火と殺人の疑いが持たれています。

容疑者は、​​犯行前にガソリンスタンドで約10リットルのガソリンを購入したとみられています。
17日の​​​​診療開始直後、クリニックを訪れ、手に持っていた紙袋を受付近くの床に置き、蹴り倒し、燃え広がったとみられています。

容疑者は、重度の一酸化炭素中毒や気道熱傷などで、意識不明の重篤な状態が続いていましたが、12月30日午後7時5分に大阪市内の病院で死亡が確認されました。
府警は、​​容疑者死亡のまま殺人などの疑いで書類送検する方針です。

(参考:日刊ゲンダイDIGITAL「​​​​大阪北新地ビル放火で浮上する「犯行の計画性」と「京アニ事件との類似性」)
(参考:産経新聞「放火疑いの男、死因は蘇生後脳症 大阪・北新地ビル放火」)
(参考:時事ドットコム「死因は蘇生後脳症 大阪ビル放火の容疑者―府警」)

(参考サイト:FLASH「大阪ビル放火、京アニ事件でもガソリンが…販売店員が嘆く「年に1人は不審客が来るが、どうしようもない」)
※URLなし

事件で浮上した​​防火体制の盲点とは?

1.スプリンクラーの設置義務はなし

11階建て以上の高層建造物では、スプリンクラーの設置義務はありますが、今回発生した放火事件のビルは8階建てであり、スプリンクラーの設置義務はありません。
スプリンクラーの設置基準は、消防法施行令第12条で細かく定められています。

種類は​​「閉鎖型」「開放型」「放水型」に大きく分けられます。
さらに閉鎖型には「湿式」「乾式」「予作動式」があります。平常時は水の出口が閉鎖されており、一定の温度に達すると感熱部の出口が開放する仕組みです。

閉鎖型

湿式スプリンクラー設備

一般的に用いられているスプリンクラー設備です。
ヘッドまでの配管系統に常時加圧水満たしておき、ヘッドが加熱解放されることで放水します。
天井の高さが10m以下(物販用途等は6m以下)の部分に設置できるものです。

乾式スプリンクラー設備

配管内の水が凍結する恐れのある寒冷地に使用されるスプリンクラー設備です。
弁からヘッドまでの配管系統に常時圧縮空気を満たし、ヘッドが加熱解放し、圧縮空気が排出されることで放水します。
天井の高さが10m以下(物販用途等は6m以下)の部分に設置できるものです。

予作動式スプリンクラー設備

スプリンクラーヘッドの破損などを避けるため電算機室などに​​使用されるスプリンクラー設備です。
弁からヘッドまでの配管系統に常時圧縮空気を満たし、ヘッドと火災感知器が感知したときに放水されます。
天井の高さが10m以下(物販用途等は6m以下)の部分に設置できるものです。

開放型

ヘッドに感熱部がなく、常に開放されたスプリンクラー設備です。
火災報知器等と連動して作動、もしくは手動起動装置によって一斉開放弁を開いて放水します。

放水型

火災感知器等が感知し、その信号で遠隔操作弁を開放して放水するスプリンクラー設備です。
放水型スプリンクラー設備には、固定式と可動式があります。

2.二方向避難ができなかった

建築基準法施行令第121条第3項では、2つ以上(階段、バルコニーなど)別々の方向に避難を確保することです。
6階以上の建物への設置は、1974年の改正建築基準法施行令で盛り込まれています。

今回の北新地のビルは、1970年に建設されています。
階段が1つしかなかなく、当時は合法だったものの、現在の法律に適合しない建物となっています。
つまり「既存不適格」の可能性が高いです。

2001年に東京・新宿歌舞伎町で44人が死亡した雑居ビル火災でも、避難経路の確保が問題となっていました。

翌年2002年に消防法が改正され、火災の予防または避難に支障となる物を置く行為の禁止に関する規定が新設されています。

防火扉が開いていた?

今回の北新地放火事件では、建築火災専門家によると、4階よりも上の階段部分の外壁にある窓から真っ黒な煤が付いており、防火扉は開けられた状態であったということです。
防火戸は、建築基準法に規定される防火設備の一種です。
防火戸はいつも閉まっている常時閉鎖式と通常は開いている随時閉鎖式があります。

主に​​防火設備(防火戸)の設置が必要なケースは以下の通りです。

  • 耐火建築物または準耐火建築物
  • 防火地域または準防火地域
  • 外壁の延焼の恐れのある部分
  • たて穴区画
  • 異種用途区画

まとめ

スプリンクラーや防火戸などの設置義務がありますが、法改正前の建物は「既存不適格」の場合もあります。
今回の放火事件により、法整備が必要との見方もあります。

建築基準法が改正されるのは、大きな災害・事件・事故が起きた後です。
事務所の賃料にも影響が出るかもしれません。

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