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八王子アパート階段崩落に学ぶ施工不良と注意点について解説

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2021年4月に東京都八王子市のアパートで階段が崩落し住民が転落死する事故が発生しました。
施工した建築会社「則武地所」(神奈川県相模原市)の手抜き工事が明らかになり、警視庁が業務上過失致死容疑で捜査を続けています。

今回は、このような施工不良に関する問題点や注意点について解説します。

株式会社則武地所とは?

2000年に創業した「則武地所」。主なエリアは、神奈川県や東京都で、3階建ての木造アパートを中心にワンルーム用アパートの建築、一般戸建住宅の建築などを請け負っていました。

特徴としては、同業他社のアパートより​​15~20%ほど安く、高利回りを売りに高く評価されていました。

ピーク時の​​2017年4月期年売上高は約20億5100万円となっています。
しかし、2020年4月期では、年売上高は約9億7800万円に大きく落ち込んでいます。同年、取引先に対する報酬未払などで訴訟問題を抱えていたということです。

八王子アパート外階段崩落死亡事故について

そのような資金繰りが悪化する中、八王子市アパート階段崩落の死亡事故が発生しました。
このアパートは、木造3階建て築9年でした。

捜査関係者によると、防腐、防水加工が不十分だったため踊り場の木材が腐食し、鉄製の階段が崩落したとみられています。
鉄製の屋外階段を木製の部材で支えているという、通常ではありえない構造だったようです。

また「則武地所」が東京都と神奈川県内で手がけた166棟以上のうち、6棟の階段踊り場などで腐食や劣化が見つかりました。
さらに、手すりの高さが建築基準法より低いなどの不備も見つかった物件もあります。

(参考:【独自】4棟の階段、緊急に修理必要 八王子の階段崩落「則武地所」施工

その後「則武地所」は、5月13日に自己破産を申請し、5月19日には、横浜地裁より破産手続き開始決定を受けました。
東京商工リサーチによると、負債額は2020年4月期決算時点で4億418万円となっています。

よくある施工不良の事例

ジャンカ(豆板)

表面に砂利や砂などの骨材がでこぼこに露出する部分のことを指します。
コンクリート打設時の材料分離やバイブレーターによる締固め不足が原因とされています。

骨材の周りは大きな空洞ができるため、強度不足や鉄筋の腐食が発生します。

界壁の施工不良

界壁は小屋裏または天井裏にまで達する必要がありました。
しかし、2019年6月25日施行の建築基準法改正に伴い、遮音性能や防火性能を満たせば必ずしも小屋裏または天井裏にまで達する必要はありません。

それでも​​遮音性能や防火性能を満たしていない界壁の施工不良が見られています。

コールドジョイント

先に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートとの間が一体化されていない打継ぎ面を言います。
発生原因としては、長時間の打ち重ねや不適切な打設があります。

コンクリート強度が低下し耐久性が失われ、漏水の原因になります。

階段の固定不良

八王子のアパート階段崩落で原因となった階段の固定不良です。
階段に適した金物の部材やビス種類が違っていたりすると、階段の固定不良につながります。

場合によっては、固定や溶接がされておらず、仮止めの状態になっているケースもあるため注意が必要です。

給排水管の接続不良

集合住宅や戸建ての床下には、給水管や給湯管、排水管の配管があります。
配管同士の接続不良やユニットバス・キッチンの排水管接続不良もよくあるケースです。

また、洗濯機の排水ホースでは、接続ミスにより防水パンからの水漏れが発生する場合もあります。

排気ダクトの接続不良

排気ダクトが外部との接続途中で外れているケースがあります。
排気ダクトとお風呂の換気扇につながっているので、接続不良の際にお風呂の湿気が漏れ、天井裏のカビの原因にもなります。

ホームインスペクション(住宅診断)の必要性

収益物件の購入後、建物の施工不良が発見され、予想外の修繕費用がかかる場合もあります。
このようなリスクを回避するため、ホームインスペクション(住宅診断)を活用するといった方法もあります。

2018年4月から改正宅建業法で、中古住宅取引の際にインスペクションの説明が義務化されました。

ホームインスペクションは、建築士などの専門家が住宅の欠陥や不具合の有無、改修すべき箇所など、客観的に診断することです。目視や機材を使用して診断します。

まとめ

アパート階段崩落事故のように施工不良は一般の方では気づきにくく、知らない間に建物の不具合や設備の劣化が進んでいることもあります。
専門知識が必要なため、物件を選ぶ際は、不動産会社に建物の状況や​​ホームインスペクションの有無など、あらかじめ確認しておきましょう。

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