恒大集団の経営危機から見る中国の不動産市場

2021.11.01

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中国の不動産開発大手「恒大集団」の巨額債務問題が危機的な状況となっています。
社債の利払い期日が続々と迫っており、この厳しい状況から社債を保有する海外投資家からも懸念する声が広がっています。

この恒大集団の経営危機で、デフォルトに陥ってしまうのでしょうか?中国の不動産市場で起きている変化を踏まえて解説します。

恒大集団・巨額債務問題の経緯

1996年に許家印氏が設立した中国大手の不動産デベロッパー・恒大集団は、2021年9月8日に恒大集団傘下の恒大金融財富管理が自社で販売していた、金融商品の一種である理財商品の償還を延期することを発表しました。

会社の前には「金融詐欺だ!政府よ、解決してください」と抗議する人たちの様子が日本メディアでも報じられています。
こうした中、恒大集団と投資家の間で話し合いがもたれ、利払いなどの交渉が始まっているようです。

一方、広東省・地方政府の建設局は、恒大集団に「収入のすべてを返金せよ」と指示する通知を出しています。

金融商品の一部返金も利払い見送りが続いている

恒大集団は、個人投資家向け金融商品の一部を返金したと発表しました。
返金した人数や金額は明かしていないということですが、総額400億元(6800億円)に上ると見られています。

恒大集団側は、満期を迎えた個人投資家向け金融商品を返金する場合、3ヶ月ごとに10%ずつ支払う通知を出していました。

しかし、9月23日と29日に米ドル建て社債の利払い計約1億3100万ドル(約147億円)と3週間で3回目の利払い見送りとなる。
恒大集団は、利払いの不履行について​​正式なコメントを発表していません。

このように同社は、子会社保有の株式売却で資金調達を行っていましたが、社債の利払い期日が続々と迫っていること、現地当局の不動産投資抑制策の影響などで、依然として厳しい状況が続いています。

また、利払いの​​30日間の猶予期間終了後に、大きな損失が出るのではないかと海外投資家から懸念されている状況です。

恒大集団の経営危機で中国不動産市場の影響は?

米金融大手のJPモルガン・チェースは、中国不動産大手の多くが簿外債務を抱えているという推計を示しています。
例えば、中国不動産大手の​​融創中国(サナック)の資金繰りが悪化し、浙江省紹興市に支援を要請したとの観測が報じられていました。

中国不動産開発会社のドル建て社債の未償還・延期が相次いでいる

10月4日には、中国不動産開発・花様年控股集(ファンタジア・ホールディングス・グループ)が米ドル建て社債の償還ができなかったと発表しています。
2億600万ドル(約230億円)の元金を返済できていません。

さらに、中国不動産開発・新力控股集団(シニック・ホールディングス・グループ)は、10月18日に期限を迎える米ドル建て社債2億5000万ドル(約280億円)を償還の見込みが立っていないと報じられています。
また、クロスデフォルトを招く可能性が指摘されています。(参考:bloomberg「中国の新力控股、ドル建て債償還不能か-クロスデフォルトの恐れも」

クロスデフォルトとは、1つの債務に対して債務不履行となった場合、他の全ての債務についても債務不履行とみなされることです。

全ての債権者が期日を前倒しして、債務の返済を要求ができます。

中国不動産開発・当代置業は、10月25日に期限を迎えるドル建て社債の償還を3カ月延期するよう投資家に要請したと報じられています。

(参考:ロイター「中国不動産開発の当代置業、社債の償還延期を投資家に要請」

一方、格付け会社S&Pグローバルは、緑地控股集団と易居中国の信用格付けを引き下げています。

恒大集団の今後について

恒大集団の不動産部門グループ会社は、10月19日に利払い期日を迎える人民元建て債権の利払いを実行すると発表しました。
利払い額は、1億2180元(約21億4700万円)としています。

しかし、9月からは、ドル建て債権の利払いを繰り返し遅延していると報じられています。
さらには、香港の本社ビルを17億(約1930億円)で中国の国有企業に売却するとみられていましたが交渉が決裂しているとも報じられています。

まとめ

恒大集団による社債の利払い不履行問題は、同社だけでなく、中国不動産開発会社に波及しています。
ドル建て社債を保有する投資家にとっては、中国の不動産会社全体にデフォルトの連鎖が広がるのではないかとの懸念があります。

今後の中国経済に打撃を与え、さらなる景気の減速感が強まっています。

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