アパートやマンションの賃貸物件を管理する業務は多岐にわたります。
オーナーさんがすべて管理する自主管理もありますが、そのほとんどが管理会社に業務を委託しているのではないでしょうか?
そのため、具体的にどのような管理業務を行っているのかわからないオーナーさんもいるかと思います。
そこで今回は、不動産管理業務はどのようなものがあるのかを詳しく解説します。
不動産管理会社の中には、不動産を開発するデベロッパー、注文住宅を建てて販売するハウスメーカー、不動産の仲介のみを行う会社、売買・仲介・管理を行う会社、仲介と管理を行う会社、管理業務のみを行う会社などがあります。
今回は、仲介と管理を行う会社、管理業務のみの会社を中心に解説します。
仲介と管理を一社に任すと、オーナーさんの負担は大幅に軽減することができます。
日頃から物件の設備状況を把握しており、内見の立会いもスムーズに行うことができます。
また、入居者の対応にも慣れているので、クレーム対応や契約の手続きまで安心してお任せすることが可能です。
幅広い管理業務を専門としているので、これまでの課題や入居者からの要望、クレームなどに対応できるノウハウが蓄積されているため、賃貸経営において心強い存在です。
したがって、清掃の頻度や設備不良の修繕など、物件管理のさまざまな問題に対応することができます。
賃貸管理の業務は、大きく「建物管理」と「賃貸管理」に分けられます。それぞれ詳しく解説します。
建物管理は、マンションの建物全体に関する維持管理、共用スペースの設備の保守・点検などの業務全般です。
具体的には、外壁、屋根、共用廊下・階段、エントランス、エレベーター、駐車場、駐輪場など、共用部分の点検や清掃、修繕などを行います。
また、給排水設備、ガス配管設備、電気設備などの保守・点検なども行います。
アパートやマンションなどの賃貸物件は、入居者が安心・安全に暮らすことができるように設備点検は欠かせません。
その点検の中には「任意点検」と「法定点検」があります。
法律で義務付けられていないものの、建物の維持管理において、日常から法定点検以外にチェックしておくことが望ましい以下のようなものがあります。
法律上義務化されている法定点検には、以下のようなものが実施されます。
建築基準法第2条で定められる「特殊建築物」の定期調査です。
特殊建築物とは、特殊な用途で使用される建築物で、共同住宅や劇場、映画館、演芸場、観覧場、病院、ホテル、旅館、共同住宅、学校、体育館、博物館などがあります。
特殊建築物定期調査の項目は、敷地及び地盤、建物外部、屋上及び屋根、建物の内部、避難施設・非常用進入口などです。
調査は、一建築士・二級建築士のほか、国土交通大臣が定める資格を有する者(特殊建築物等調査資格)が行わなければなりません。
この調査は原則、3年に1回は特定行政庁へ報告することが義務付けられています。
建築設備定期検査
建築基準法第12条第3項に規定されている、建物の設備に関する定期検査です。
建築設備定期検査の項目は、換気設備、排煙設備、非常用の照明設備、給排水設備などです。
調査は、一級建築士・二級建築士取得者のほか、特定の講習を受けた建築設備検査資格者が行わなければなりません。
この調査は原則、1年に1回は特定行政庁へ報告することが義務付けられています。
エレベーターの法定点検
マンションのエレベーター設備は、年1回の法定点検が義務付けられています。
簡易専用水道の検査
簡易専用水道とは、水道から供給を受ける水のみを水源として、受水槽の有効容量が10立方メートルを超えるものを指します。
設置者に対して年に1回、厚生労働大臣登録機関の検査を受けることが義務付けられています。
検査内容は、外観検査、水質検査、書類検査などです。
地方公共団体の機関、厚生労働大臣の登録機関が検査を行います。
浄化槽設備点検
メンテナンスを怠ると水質が悪化や悪臭の原因になるため、正しく設置され、適正に維持管理しなければなりません。
そのため、浄化槽の保守点検、清掃、定期検査を行います。
浄化槽の保守点検業者(都道府県・政令市の条例に基づく登録を受ける必要)は、浄化槽管理士の国家資格を有する者が行わなければなりません。
点検は6ヶ月ごとに行う「機器点検」と1年1回行う「総合点検」があります。
機器点検は、消火器や消火栓、火災報知機などの設備点検を行います。
総合点検は、消防用設備を動作、使用して総合点検を行います。
点検は、消防設備士(甲種・乙種)・消防設備点検資格者(1種・2種)が行わなければなりません。
電気事業法39条、42条に基づき、電気主任技術者が高圧受電装置(600Vを超える)月次点検と年次点検を行います。(自家用電気工作物定期点検)。
チラシやインターネットで工夫しながら集客を行う重要な業務です。物件のアピールポイントをいかに伝えるかが大切です。
賃貸契約前の重要事項説明や手続きに関する書面のやり取り、契約後の更新手続などを行います。
毎月の家賃を所定の日に集金を行います。滞納者がいる場合は、督促を行う必要があります。
入居者からの設備不良や故障に関する修繕依頼や騒音、ゴミ出しのマナー、ペット問題などのクレーム対応を行います。
退去時に部屋の破損、汚損などを確認する原状回復の立会いと敷金清算に関する業務です。
特に原状回復の費用についてはトラブルも多いので「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をもとに対応します。
不動産管理会社の業務は、建物管理と賃貸管理に分けられます。
建物管理は、法律で義務付けられている点検(法定点検)があり、必ず実施しなければなりません。
賃貸管理では、入居者募集や家賃の回収、クレーム対応、退去時の立会いなど、幅広い業務があります。