テレワーク普及による首都圏転入超過数の推移について解説

2021.10.04

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新型コロナウイルス感染拡大の影響で企業のテレワーク導入が増えています。
その流れで都心から郊外へ移り住む人が多くなっています。

しかし、首都圏では転出超過に陥っているとはいえません。
そこで今回は、テレワークの普及による首都圏の転入超過数の推移について解説します。

日本の人口12年連続の減少

総務省が8月4日に発表した住民基本台帳に基づく「人口動態調査」によると、1月1日時点の日本人の人口は、1億2384万2701人で、前年に比べて42万8617人に少ない0.34%の減少で2009年をピークに12年連続の減少となっています。

減少幅が過去最大だったのは、2020年の50万5046人でした。
日本の人口の減少幅が鈍化している理由として、新型コロナウイルス感染拡大の影響があるとみられ、海外への転出者数が8万6251人の49.44%にとどまっていることが要因と考えられます。

一方、​​​​外国人は、281万1543人で5万5172人減少しており、7年ぶりの減少に転じました。

また、昨年1年間の「自然増減数」は、マイナス53万608人(出生者数84万3321人、死亡者数137万3929人)で、1979年の調査開始以降、最大の減少となっています。

*人口動態調査とは、1872年から開始された厚生労働省が毎月行う基幹統計調査で、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的としています。

出生・死亡・婚姻・離婚・死産の5種類となる「人口動態事象」について、人口動態統計を作成します。

(参考:厚生労働省「人口動態調査」
(参考:読売新聞オンライン「日本の人口、12年連続減の1億2384万人…コロナで減少幅は鈍化」)

東京圏の人口伸び率鈍化

東京圏の人口の伸びが鈍化していることがわかりました。伸び率は、2020年の0.37%から0.07%に低下しています。
東京圏の人口増加数は、2万6323人と2020年から約11万人ほど減少しています。

新型コロナウイルス感染拡大で企業のテレワーク導入が増え「東京離れ」が生じているとみられ、近郊や地方への移動が始まっている可能性もあります。
一方、三大都市圏の人口は、6639万5732人で日本人口の52.42%で、​​東京都の人口は、昨年より4万人増えて、25年続けて多くなっています。

(参考:日本経済新聞「テレワーク移住拡大」)

コロナ禍の東京都テレワーク普及率

コロナ禍で「働き方改革」が注目される中、東京都のテレワーク実施率調査結果(5月)では、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は前月の8.2ポイント上昇し、過去最高の64.8%となっています。
(参考:東京都「テレワーク実施率調査結果」

都内では、大企業の本社が集中しており、テレワークを取り入れやすい部門で増加しているとみられます。
一方、国土交通省の2020年度「テレワーク人口実態調査」では、緊急事態宣言が発令された4~5月の実施率は、首都圏が31.4%と地方都市圏の13.6%と比べ、高い水準となっています。

しかし、ワクチン接種の普及により、今後は完全出社のオフィスワークに戻す企業が増えてくることも考えられます。
特に中小企業では、テレワークの導入が進んでいない傾向にあります。

東京圏の人口動向(転入・転出)

総務省「住民基本台帳に基づく人口・世帯数」によると、東京圏の転入・転出状況では、2020年の年間転入者数は49万2631人、転出者数は39万3388人であり、転入者が転出者を上回る「転入超過」となっています。

2021年は、3月に5万7970人、4月に1万4566人の転入超過が続いていますが、コロナ禍以前の2019年(3月6万9438人、4月2万6145人の転入超過)と比べて3割弱の減少となっています。

したがって、東京圏の転入超過がわずかに縮む状況ではありますが、テレワークの普及で大きく転出超過に転じているとは言えません。
東京圏が転出超過になったのは、​​バブル崩壊後の一時期のみとみられています。
依然として、東京一極集中が続いていると言えるでしょう。

まとめ

首都圏では新型コロナウイルス感染拡大により、大企業を中心にテレワークの普及が進んでいます。
しかし、東京圏の人口動向については、転入超過が縮小しているものの転出超過に転じているとは言えないでしょう。

(参考:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」
(参考:一般社団法人 大都市政策研究機構「東京における2020年~2021年上半期の人口動向」)

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