盛り土崩落で被害拡大も?災害とハザードマップの重要性について解説

2021.07.08

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静岡県熱海市の伊豆山で土石流が発生

7月3日に静岡県熱海市伊豆山の大規模土石流が発生しました。
この日、各地に大雨警報や土砂災害警戒情報、洪水警報が出されていました。

土石流の起点付近には、約5.4万立方メートルの盛り土があり、これを含む10万立方メートルの土砂が流出しました。
静岡県の調査では逢初川の上流方向でドローンを飛行させところ、伊豆山地区にある伊豆山小学校から北西に1キロほど離れた山の斜面が幅およそ100メートルにわたって大きく崩れていることがわかったということです。

(出典:NHK政治マガジン「熱海の土石流 上流開発現場盛り土含む斜面が崩落」)

土石流の起点で施工された盛り土について

造成工事は2007年に静岡県土採取等規制条例に基づき、残土の処分を目的に神奈川県内の企業が届け出たものです。
市は当時、トラックで土砂が搬入される様子を確認していたということです。
しかし、現場は工事目的が宅地造成ではなかったことから宅地造成等規制法の対象外でありました。

赤羽一嘉国土交通相は、全国で同様の危険な場所があるかどうか、盛り土の総点検を実施する方針を示しています。
一方、土木の専門家でもある静岡県の副知事は7日、盛り土について「工法が不適切だった」との個人的見解を示しています。その理由として、排水設備や、えん堤が設置されていなかった点を指摘しています。

(出典:FNNプライムオンラン『盛り土「工法が不適切だった」静岡県副知事が見解 排水設備など設置されておらず』)

太陽光発電所の建設地について

近くでは、太陽光発電施設も開発されていました。県の調査は、今回の土砂崩れとの因果関係は確認されていません。
一方、小泉進次郎環境相は6日、太陽光発電所の建設地について、災害リスクが高い区域をあらかじめ指定して候補から外す新たな規制ルールを検討していることを明らかにしました。

今回の土石流で起点とされる「盛り土」とは?

「盛り土」とは、傾斜などの土地に土を盛り、平らな土地にするこや低い地盤を高くしたりするために土を盛ったりすることです。
「盛土」と表記されることもあります。

山間部や丘陵地など、傾斜のある土地を造成することにより住宅を建てることができます。
その他、圧密沈下の防止するため、一定の高さに保つように盛り土を行うこともあります。
逆に土地を削り取って平らな土地にすることを「切土」と言います。

盛り土の種類

大規模な盛り土(大規模盛り土造成地)は、盛り土をする前の地盤面の角度が20度以上、かつ盛り土の高さが5メートル以上の「腹付け型」と谷や丘陵を埋め立てる面積が3,000平方メートル以上の「谷埋め型」の2種類があります。

盛り土の許可について

宅地造成工事規制区域内の土地で、盛り土で高さが1mを超える崖を生ずる工事、切土と盛り土を同時に行う場合、盛り土は1m以下でも切土と合わせて高さが2mを超える崖を生ずる工事は、都道府県知事等の許可を得なければなりません。

*宅地造成工事規制区域とは、宅地造成に伴うがけ崩れや土砂災害などが生じる恐れがある区域を指定することができるというものです。

*造成宅地防災区域とは、宅地造成工事規制区域以外で地盤の滑動や土砂の流出などの災害が発生する恐れがあるとして、都道府県知事が「宅地造成等規制法」により指定した区域です。

盛り土のメリット・デメリット

盛り土のメリット

浸水被害を抑えることができる

盛り土を行うことで、地盤が高くなり浸水被害を回避することができます。
河川や海岸周辺に盛り土して建てた家については、ある程度の雨であれば浸水被害を抑えることができるでしょう。

外からの視線を遮る効果が期待できる

地盤を高くすることで、家の中から見える歩行者の視線や上からの視線など、気にならなくなります。

盛り土のデメリット

不同沈下が起きるリスク

地盤にバラつきがあるため、土の締め固めや地盤改良工事などが不十分である場合は、不同沈下が起きるリスクもあります。

大規模な災害のリスク

地震による滑動崩落で盛り土の下の地盤が沈んでしまうと、盛り土の上に建てられた物件の被害が大きくなる可能性があるでしょう。

異聞混入のリスク

盛り土に使われる材料や施工方法、含まれる土の性質・種類はさまざまです。中には質の悪い盛り土があり、異物が混入しているケースも考えられます。
このような場合は、盛り土の中に隙間ができることで地盤沈下を引き起こす可能性も否定できません。

土砂災害における「ハザードマップ」の重要性

今回の熱海土石流など、土砂災害に備えて「ハザードマップ」の確認が重要となります。
国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」などで事前に確認することができます。

「ハザードマップポータルサイト」では災害の被害や範囲を予測した地図で、危険性や災害時の避難経路、避難場所などの情報を得ることができます。

ハザードマップの種類

洪水、内水、津波、高潮、土砂災害、火山、宅地、地震危険度ハザードマップなどの8種類があります。ハザードマップは、必要に応じて更新も行われます。

「ハザードマップ」を使用するポイント

災害別に危険箇所を確認する

自宅や会社周辺でどのような災害が発生するのか調べます。その他、通勤・通学に使用するエリア、よく利用する商業施設など、危険箇所を確認する必要があります。

避難場所やタイミングを把握しておく

災害が起きた際に指定緊急避難場所や避難ルートを確認しておきましょう。ただし、災害の種類によって避難ルートが異なるので注意しなければなりません。

通行規制を想定する

土砂崩れや落石で避難ルートが通行規制されていることもあります。「重ねるハザードマップ」の道路防災情報で、事前通行区間を緊急輸送道路などを確認することが大切です。

宅地建物取引業施行規則改正とハザードマップについて

宅地建物取引業施行規則の改正により、宅地建物取引士が重要事項説明で、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を示すこととなりました。
宅地建物取引業施行規則の改正は、令和2年8月28日に施行されました。

不動産取引の売買だけでなく、賃貸借も重要事項説明を行う必要があります。
このように不動産取引の際にもハザードマップの活用が広がり、その重要性が増しています。

まとめ

ここでは、静岡県熱海市の伊豆山で発生した土石流についての流れや盛り土の仕組み、特徴、土砂災害における「ハザードマップ」の重要性、宅地建物取引業施行規則改正とハザードマップについての内容を解説しました。
一部の盛り土では土石流などのリスクが想定されるので、ハザードマップを確認しながら、災害に備えることが大切です。

また、ハザードマップで避難場所や避難経路も合わせて把握しておきましょう。

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