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消費税の引き上げに伴う経過措置とは?事例別で分かりやすく解説

みなさんは「消費税の経過措置」をご存知ですか?

ニュースなどのメディアでは消費税の軽減税率のことばかりが取り上げられて、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
しかし、消費税の経過措置を知らないと、経理処理などに支障が出てしまいます。日常生活で関わる場合もあるので、しっかりと知っておくべきです。

今回は消費税の経過措置を知りたい人向けに、その概要を説明します。また、場面ごとに消費税の経過措置がどう適用されるのかについても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

消費税の経過措置を知って、増税の時期に正しい金額の税を把握しましょう。

消費税引き上げに伴う経過措置とは?

消費税の経過措置とは、2019年10月1日の増税に伴って、税率の変更の前後に取引がまたがっているものの扱いを定めたものです。

全ての取引が一時点で完結するわけではありません。増税前に注文や支払いをして、増税後にサービスを受けたり商品を受け取ったりすることもあります。
そこで旧税率の8%が適用されるのか、新税率の10%が適用されるのかによって、支払い金額や経理処理が大きく変わります。

消費税の経過措置については国税庁の「平成31年(2019年)10月1日以後適用する消費税率等に関する経過措置について」で詳しく解説されています。時間のある時に一度、読んでおくとよいでしょう。

消費税の経過措置は一見、自分には関係ないと思う人もいるかもしれません。しかし、経過措置が適用される一例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 電気や水道などの料金
  • 定期購読
  • メンテナンスサービス など

上記の項目は、多くの企業で支払っているのではないでしょうか。なので、どの企業もしっかりと消費税の経過措置を理解する必要があります。

また、消費税の経過措置で注意しなければいけないことは、「経過措置が適用されたら、強制であること」です。処理が面倒だから全て新税率にするといったことはできません。
新税率を適用して、仕入税額控除を使うことも当然、不可能です。

消費税増税の直前に商品を仕入れたら?

もし、消費税の増税の直前に商品を仕入れたら税額はどうなるでしょうか。
結論は、旧税率(8%)が適用されます。

国税庁の「平成31年(2019年)10月1日以後適用する消費税率等に関する経過措置について」には、以下のような記述があります。

平成26年4月1日から31年施行日の前日(平成31年(2019年)9月30日)までの間に国内において事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れ等に係る消費税及び地方消費税については、旧税率(8%)が適用されることとなります。

つまり、2014年4月1日から2019年9月30日までに商品を仕入れた場合は、消費税が8%になるということです。それ以降、もしくは「経過措置が適用される取引」にあたらない場合は新税率の10%になります。

増税前に運賃や遊園地の入場料を払ったら?

消費税が増税される前に定期券の購入をしたり、遊園地の入場券の支払いをした場合はどうなるのでしょうか。
消費税増税した後に利用すると、増税分も必要になるのでしょうか。

結論は、「旅客運賃等」に分類されて、旧税率(8%)が適用されます。

国税庁の「平成31年(2019年)10月1日以後適用する消費税率等に関する経過措置について」で、旅客運賃等の欄には以下のように記載があります。

31年施行日以後に行う旅客運送の対価や映画・演劇を催す場所、競馬場、競輪場、美術館、遊園地等への入場料金等のうち、26年施行日(平成26年4月1日)から31年施行日の前日までの間に領収しているもの

よって、増税前に運賃や遊園地の入場券を増税前に購入していれば、税率は8%です。

上記にも記載がありますが、他にも以下のようなものが旅客運賃等に含まれます。

  • 映画や演劇
  • 競馬場
  • 競輪場
  • 美術館

この機会に確認してみてはいかがでしょうか。

電気代や水道代が増税してから支払いになったら?

電気代や水道代を継続的に支払っている場合、料金の支払い日によって金額に差が生まれるのでしょうか。
その場合、増税後に支払いをする場合は、そうでない人と比べて不公平になってしまいます。

結論は、「電気料金等」に分類されて、10/31までに支払いをする権利が確定しているものは旧税率(8%)です。

国税庁の「平成31年(2019年)10月1日以後適用する消費税率等に関する経過措置について」では、電気料金等について次のように記述しています。

継続供給契約に基づき、31年施行日前から継続して供給している電気、ガス、 水道、電話灯油に係る料金等で、31年施行日から平成31年(2019年)10月 31日までの間に料金の支払を受ける権利が確定するもの

よって、継続的に電気料金や水道代を支払っているなら、10月の支払いは消費税8%になります。

請負工事の取り扱いは?

増税前に請負工事の契約をした場合の消費税はどのようになるのでしょうか。
増税後に作業してもらうと、料金に変動はあるのか心配ですよね。

結論は、2015/10/1から2019/3/31までに締結した契約で、増税以降に課税資産の譲渡等を行う場合は旧税率(8%)となります。

今回の件の分類は「請負工事等」です。請負工事等は国税庁の「平成31年(2019年)10月1日以後適用する消費税率等に関する経過措置について」で、以下のように書かれています。

26年指定日(平成25年10月1日)から31年指定日(平成31年(2019年)4 月1日)の前日までの間に締結した工事(製造を含みます。)に係る請負契約(一定の要件に該当する測量、設計及びソフトウェアの開発等に係る請負契約を含みます。)に基づき、31年施行日以後に課税資産の譲渡等を行う場合における、当該課 税資産の譲渡等

ただし、2019/3/31以降に契約の料金が増額されると、その分は新税率の10%が適用されるので注意してください。増額前の料金は8%のままです。

その他の経過措置

ここまで4種類の事例の消費税の経過措置を説明してきました。しかし、経過措置にあたる取引はまだまだたくさんあります。
その他の経過措置には次のようなものがあります。

  • 資産の貸付け
  • 指定役務の提供
  • 予約販売に係る書籍等
  • 特定新聞
  • 通信販売
  • 有料老人ホーム
  • 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に規定する再商品化等
  • リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合における税率等

このように様々な取引において、消費税の経過措置が適用される可能性があるので、しっかりと確認しておきましょう。
詳しい内容は国税庁の「平成31年(2019年)10月1日以後適用する消費税率等に関する経過措置について」にあります。

まとめ

ここまで消費税の経過措置について解説してきました。
消費税の経過措置とは、2019年10月1日の増税に伴って、税率の変更の前後に取引がまたがっているものの扱いを定めたものです。

この経過措置は適用される場合は、旧税率(8%)と新税率(10%)の選択はできず、強制的に旧税率となるので、注意してください。

また、今回は以下の4つの事例について説明しました。

今回紹介した4つの事例

事例 税率 条件
消費税増税前に商品を仕入れたら? 旧税率(8%) 2014年4月1日から2019年9月30日までに商品を仕入れた
増税前に運賃や遊園地の入場料を払ったら? 旧税率(8%) 2014年4月1日から2019年9月30日までに支払い、増税後に利用した
電気代や水道代が増税してから支払いになったら? 10/31までなら、旧税率(8%)、それ以降は新税率(10%) 10/31までに支払いをする権利が確定している
請負工事の取り扱いは? 旧税率(8%) 2015/10/1から2019/3/31までに締結した契約で、増税以降に課税資産の譲渡等を行う

 

不動産の入口 消費税経過措置が理解できでいないと、正確な経理処理をすることができません。
今回の記事をきっかけに、消費税の経過措置について学んでおきましょう。

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