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フラット35悪用スキームとは?

年号が令和へと変わり、そろそろ新元号の新鮮味も薄れてきた昨今ですが、年号が変わった直後ぐらいに、不動産界隈を揺るがす大きなニュースがあったのを覚えていますでしょうか?
通称「フラット35悪用スキーム」などとも呼ばれたこの事件。
どの様なものだったのか、改めて振り返ってみましょう。

フラット35とは?

ご存知のかたも多いと思いますが、先ずはフラット35について、簡単に説明致します。
フラット35とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して取り扱っている、全期間固定金利型の住宅ローンの事です。
35とは最大融資期間が35年であることから来ており、つまり最大35年間、固定金利で融資を受けることが出来ます。

民間の金融機関では、この様な長期の固定金利による融資は、資金調達が難しいと言われています。
つまりリスクのある融資ということになりますが、このリスクを住宅金融支援機構と提携することで緩和し、行っている融資がフラット35です。
具体的には、これを担保とする債権を住宅金融支援機構が買取る事で、金融機関は資金調達を行っています。
このようにして集まった債権を、住宅金融支援機構は投資家に売却し、現金化しているという格好です。

仕組みはさておき、借り手側からすれば完済まで月々の返済額が常に固定という事になりますから、返済計画が立てやすいという大きなメリットがあります。

住宅ローンと投資用ローンの違い

利用者に関わるところで言えば、先ず融資金利の違いがあります。
投資用ローンよりも、住宅ローンの融資金利は通常低くなります。
例えばフラット35の場合、2019年7月時点での融資金利は、1.180%~1.870%となっています。
対してアパートローンの融資金利は、金融機関によって差こそあるものの、2%~3%程度であることが多い様です。
高いところでは、3%代後半から4%以上というところもあります。
実に1%~2%程度の金利差が、住宅ローンと投資用ローンには有るという事になります。

また審査基準も異なっています。
一般的には投資用ローンに比べ、住宅ローンは審査が緩いとされており、その根拠としては投資用ローンよりも住宅ローンの方が、年収や自己資金余力が求められないという背景があります。
とはいえ最低限のハードルはありますが、それでも投資用ローンに比べれば格段に低いと言えるでしょう。

ズバリ!フラット35悪用スキームとは?

この様にフラット35をはじめとした住宅ローンは、投資用ローンよりもあらゆる点で優遇されています。
その優遇を享受するために、フラット35で住宅用として融資を受け購入した物件を、投資用に使ってしまおうというのが、今回のスキームの骨子です。

前述の通り、住宅ローンは投資用ローンよりも金利面で恵まれています。
つまり住宅ローンで不動産投資が出来れば、その分収益性が増す、砕けた言い方をすれば儲けが出るという事になります。
また審査が緩くなるということは、今まで不動産投資を諦めざるを得なかった様な属性の方にも、窓口が開かれるという事になります。
更に一般的に投資用ローンは変動金利である場合が多いのに対し、更にフラット35は固定金利による融資です。
経年によって収益性が劣化していく不動産投資において、金利変動リスクを全く考慮する必要がないという事が、どれほどのメリットであるかは想像に難くないでしょう。

買い手側にメリットがあるという事は、売り手側にもメリットがあるという事に繋がります。
収益性が拡大するということは、言い換えれば投資用ローンでは収益性が悪く商品にならなかった様な割高な物件も、収益性をもたせて商品化出来るという事が言えます。
また顧客層も広がりますから、売り手側から見れば物件がより売りやすくなるのです。

では実際には、このスキームはどの様な手法で行われるのでしょうか?
先ず融資の申込をし、審査を経て実行されるまでは、特段なやり取りが発生するものではありません。
単に投資用に使うつもりである旨を隠し、自己用だという体で審査を受けるだけです。
審査ハードルも低いわけですから、ここで躓く可能性は低いでしょう。

金融機関も審査段階で虚偽を見抜くことは難しいでしょう。
審査しているのは「これから住もうとしている物件」である訳ですから、確認の取り様が無いのです。
よって融資実行後しばらくしてから、フラット35に関する転送不可の郵便を、融資した物件あてに送り、返信してもらうことで居住確認の材料にします。
そこでオーナーは「私宛の書類が来たら受け取って連絡をくれ。取りに行くから。その分家賃を少し値下げしよう」などと入居者に言っておけば良い訳です。
これで断る入居者はいないでしょうからね。

この様に小難しい手段も必要なく、フラット35で不動産投資が可能となります。
なお、あくまで住宅用として審査を受けるわけですから、対象となる不動産は、戸建てか区分に限られます。

このスキームの違法性

「え?それって大丈夫なの?」と思われた方。
勿論アウトです。

フラット35の商品説明書には、資金用途は申込みご本人またはご親族がお住まいになる新築住宅の建設・購入資金、または中古住宅の購入資金と記載されています。

またセカンドハウス(いわゆる別荘)に供する用途でも利用可能ですが、賃貸住宅には利用できない旨の記載も確認できます。
これらは当然金消契約書にも記載されているでしょうから、契約違反となってしまう訳です。

更に悪質なのが、住宅ローンとして融資を受けている為、住宅ローン控除を受けられてしまう点にあります。
こちらについては完全に脱税であるため、規模的に犯罪行為とまでは言わないものの、それに類する行為であることは疑いようがありません。

この様な不動産投資の融資に起因するトラブルに関しては、スルガ銀行不正融資問題が類似の事案として記憶に新しいかと思います。
しかし、フラット35悪用スキームとスルガ銀行不正融資問題とは、決定的に異なる要因が一つあります。
それはオーナー自らが不正を理解してこのスキームに加担したかどうかです。

スルガ銀行の問題では、預金残高の改竄や、無理なサブリース契約が問題となっていました。
しかしそれらは業者が主導したものであって、オーナー側の預かり知らぬところで行われていた可能性があります。
反面、フラット35に起因する問題は、オーナー側は投資目的で使用してはならない融資である事を知っているにも関わらず、投資用に供しているという事実があります。
フラット35はテレビCMも多く打たれているため住宅ローンとしての認知度は高いはずですし、そうでなくても金消契約の時点で投資用に供してはならない旨の説明を受けているはずですから、オーナーが「知らなかった」とするのはあまりに不自然です。
勿論、「みんなやっている事だから」等といった悪質な業者の口車に乗り、このスキームに加担してしまったオーナーも居るとは思いますが、それでも知っていながら悪用したことに変わりありません。

まとめ

このように今回の問題はオーナー側の責も問われるものである事から、もし融資の不正利用が発覚した場合は、金融機関から一括返済を求められる可能性も高いと推察されます。
そして一括返済が不可能である場合、資産の差し押さえという未来も現実味を帯びてきます。

不動産の入口 フラット3今後みなさんが気をつけなければならないのは、フラット35以外の住宅ローンを用いて、同様のスキームを提案される可能性が0ではないという事です。
前述の通り、スキームの骨子自体は至極単純な物であるため、他の住宅ローンでも十分代替えが効いてしまうのが、今回のスキームの恐いところです。
勿論これだけ問題が大きくなっている中で、なおもこのスキームを用いて販売活動を行ってくる様な業者は皆無に近いと思いますが、十分に気をつけて頂きたいと思います。

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